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墓じまいのお布施の相場は?渡すときのマナーや注意点など

最近は、お墓の管理が難しくなり、墓じまいを考えている人が増えています。

 

墓じまいをするときには、墓石を撤去する前に閉眼供養などが必要ですが、お布施はどうすれば良いのか、気になっていませんか?

 

今回は、その際に渡すお布施の相場がどのくらいなのか、渡す時のマナーなど、墓じまいのお布施に関して詳しく解説します。

 

また、お布施以外にも必要になるお金がありますので、あわせてお話ししましょう。一度きりのことなので、失礼にないように対応したいものです。

 

墓じまいにお布施は必要なの?お布施の本来の意味

墓じまいにお布施は必要なの?お布施の本来の意味

お布施とは、お葬式や法事の時に僧侶に読経をしていただいたり、戒名をいただいたお礼としてお金をお渡しするものです。

 

ただし、労働の対価のように思っているとそれは少し違います。

 

お布施はお礼の気持ちを表すもの

 

ふだん、お墓を管理していただき、先祖代々の霊を供養してもらうなどお世話になっていることに対する「お礼の気持ち」を表すためのものであり、お寺に対する寄付的な要素が強いものです。法的な根拠も支払い義務もありません。

 

ですから特に明確に金額が決まっているものではなく、「お気持ちで」ということになるのです。

 

では支払わなくてもいいかというと、それもまた違うでしょう。墓じまいをするにあたり、墓石をどかして更地にすればそれで良いということにはならないはずです。

 

仏様を取り出すのですから、閉眼供養が必要になります。これまでお墓を守っていただいたというお礼の気持ちをお伝えするということも考えれば、気持ちよくお渡しすべきものではないでしょうか。

 

墓じまいにお布施が必要な理由

 

墓じまいでは、仏様を取り出す前にその魂を抜き取る儀式が必要です。閉眼供養をしないと墓石の撤去にも応じてくれない業者もいます。

 

お墓を移すわけですから、一度魂を抜いてただのご遺骨に戻し、違う場所で供養をする際に再度開眼供養を行なって魂を込めるのです。

 

そのための読経をしていただくので、通常の法要と同じことになります。お墓をなくすのだから何もしなくてもいいという訳ではありません。お布施をお渡しするのはマナーの一つとも言えるでしょう。

 

お布施に法的な根拠はない

 

先ほども説明した通り、お布施は対価として支払うものではないため、法的根拠はありません。ですから、基本的にはお寺側が金額を指定することはないのです。

 

墓じまいをするときの状況によって、相場といわれる金額をお渡しすることが難しい場合もあると思います。そのようなときは無理せず、できる範囲でお渡しできれば十分です。

 

ただ、それによって墓じまいに影響が出ないかと心配な人は、あらかじめ親戚や寺院側に相談しておくと良いかもしれません。

 

墓じまいのお布施の相場

 

墓じまいのお布施はどのくらいお渡しすれば良いのかと迷ってしまう人が多いですが、おおよその目安についてご説明します。

 

お寺との関係性によっても違ってきますので、あくまでも参考程度にとどめてください。

 

通常のお布施の相場

 

「お気持ちでけっこうです」といわれてしまうと、いくらお包みすれば良いかわからないと困ってしまう人もいると思います。

 

1回にお渡しするお布施は、3~5万円程度が相場です。地域によっても違いがあるため、わからない時は親戚の人にも聞いてみてください。

 

一般的な閉眼供養の相場

 

墓じまいでお渡しするお布施の相場は法要でお渡ししていたお布施の1~3回分が相場だとされています。

 

金額にすると、3万円~15万円ほどです。わからない場合には法事に関わってきた親戚の人に聞いてみる、もしくは寺院に直接「みなさんはおいくらくらい包んでいますか?」と聞いてみても良いでしょう。

 

これだけの開きがあるのは、これまでのお寺との関係性、お付き合いの長さによって違いが出るからです。

 

お付き合いが長い寺院の場合

 

かなり幅のあるお布施の額ですが、お付き合いの長さに比例しているといってもよいでしょう。

 

先祖代々お墓の管理をしてもらっていた場合には、10万円~15万円ほどお渡しすることもあります。

 

ただし、後ほど説明する離檀料もありますので、お付き合いが長い場合にはお布施だけでなく離檀料の額も合わせ、いくらくらいが適切か総合的に判断します。

 

インターネットなどで検索して閉眼供養を依頼する場合

 

最近では檀家としてお寺と関わっている人もだんだん減ってきています。特に都市部ですと、公立の霊園などを利用していて僧侶の知り合いもいない、という人も多いでしょう。

 

そのような場合でも墓じまいをする上ではやはり閉眼供養が必要です。今ならインターネット等で検索して個別に依頼することになると思いますが、この場合のお布施の相場はだいたい3~5万円、法要1回分と考えて差し支えありません。

 

お布施以外に必要なもの

お布施以外に必要なもの

墓じまいのときには、お布施以外にもお寺にお渡しするものがあります。何にいくら必要か、目安について説明します。

 

御車代

 

御車代とは、墓地まで足を運んでいただいたときのお足代です。お布施とは別にお渡しするものであり、5,000円~10,000円が相場です。

 

結婚式などで遠くから列席していただいた方に交通費として御車代をお渡ししますが、それと同じような意味合いです。

 

ただし、お墓がある寺院で閉眼供養をとり行い、僧侶が交通機関を利用していない場合には、お渡しする必要はありません。

 

御膳料(おぜんりょう)

 

御膳料とはお食事代のことです。閉眼供養の後に会食の場を設けることがありますが、僧侶が会食に参加しなかった場合にお渡しするものです。相場は5,000円~10,000円程度です。

 

なお、会食に参加する場合にはお渡ししなくても良いものです。

 

離檀料の相場

 

さて、墓じまいの時の閉眼供養でお渡しするお布施の相場はわかりましたが、それとは別に離檀料をお渡ししなくてはならない場合があります。

 

離檀料とは、墓じまいをするにあたり檀家であることをやめることから、「これまでお世話になりました」という気持ちを込めてお渡しするものです。

 

これもお布施と同じく、法的根拠のある支払いではなく、あくまでも「気持ち」ということになるのですが、これまでお墓を守っていただいたことに対する「感謝料」という性質のものです。

 

相場は10万円~20万円くらいですが、これはお寺とのお付き合いの長さ、感謝の気持ちによります。事情によってはこれ以下でもこれ以上でも特に問題はありません。

 

開眼供養のお布施

開眼供養のお布施

先ほども少しお話ししましたが、墓じまいの後に新たにお墓を建てる場合には、開眼供養が必要になります。

 

ただし、供養の方法によってはお布施が必要ない場合もありますので、相場とともにお布施の有無についても説明します。

 

新たにお墓を建てる場合(個人墓)

 

これまでと同じようにお墓を建てる場合には、開眼供養が必要です。僧侶に読経していただきますので、お布施をお渡ししますが、5,000円~10,000円程度が相場です。

 

ただし、公営の霊園、民間の墓地などでは開眼供養は特にしなくても良いとされています。その際は当然お布施は不要です。

 

合祀墓(永代供養墓)に納骨する場合

 

墓じまいをするのはお墓の管理を継承する人がいないから、という理由が多くみられます。そうなると、墓じまいの後には管理者が必要ない合祀墓(永代供養墓)に埋葬するという方も多いでしょう。

 

他のご遺骨と一緒に埋葬するため、開眼供養が不要な場合が多いです。

 

散骨する場合

 

墓じまいをした後、散骨をする人も増えています。海や山に散骨をするときは、特に開眼供養は必要ありません。ですからお布施も不要です。

 

ただし、散骨する場所に僧侶を招いて読経をしていただくなら、お布施が必要です。その場合は5,000円~10,000円が相場です。

 

なお、この場合は御車代も必要になりますので忘れずにお渡ししてください。

 

墓じまいでお布施をお渡しするときに注意すべきこと

 

お布施をお渡しするときのマナーや注意点についてお話しします。失礼のないように気をつけたいものです。

 

お布施は不祝儀袋に包む

 

墓じまいの時のお布施は、不祝儀袋に包みます。コンビニや文房具店で売っているもので大丈夫です。

 

もしどうしても時間がない、用意できないというときには白い封筒でも良いですが、郵便番号が印刷されていないまっさらなものを選んでください。

 

表書きは「御布施」にする

 

表書きは、封筒の中央に「御布施」と書きます。不祝儀用の封筒ですと、表書きが印刷されている場合もあるので、そういったものを利用すると便利です。

 

「御布施」の下には、個人名(フルネーム)または「◯◯家」と記します。使用する筆は濃墨です。

 

新札を揃えて入れる

 

お札を入れる際には新札を用意します。お通夜やお葬式に参列するときに新札を使用すると、「あらかじめ準備をしていた」として失礼になってしまいますが、閉眼供養では気にしなくても大丈夫です。

 

お札はきちんと向きを揃え、肖像画が上に来るようにして封筒に入れてください。

 

裏書きも丁寧に

 

封筒の裏書きも忘れずにしましょう。

 

  • 差出人の名前
  • 住所
  • 金額

を記載します。

 

金額は旧字の漢数字を使いますので、たとえば1万円を入れるときには「金壱萬円也」と書きます。

 

お布施を渡すタイミング

 

お布施を渡すタイミングですが、儀式の途中や帰り際の忙しい時を避け、供養の前後にお渡しするのがマナーです。

 

供養の前

供養の前に渡す場合は、お見えになったタイミングで「本日はどうぞよろしくお願いいたします。」と一言添えてお渡しします。

 

供養の後

供養の後に渡す場合は、読経が終わった後に「本日はわざわざお越しいただきありがとうございました。些細ではございますがこちらは御礼でございます。」と挨拶をしてお渡しします。

 

お布施の渡し方

 

お布施の渡し方にもマナーがあります。そのまま封筒で、手渡しをしないように気をつけてください。

 

お布施は切手盆(きってぼん)に乗せてお渡しするのがマナーです。切手盆とはお布施やご祝儀などお金の包みをお渡しするときに使う、冠婚葬祭用の小さな黒塗りのお盆のことです。

 

切手盆に家紋がある場合は、まず自分の方に向けて置きます。ない場合はどちら向きでも構いません。

 

その上に、自分が文字を読める向きにお布施を置きます。そして、お盆の右上と左下の角を持って90度回し、さらに90度回して封筒を僧侶から読める方向にお盆を向けます。

 

お盆がない時は、袱紗を代わりに使うと良いでしょう。袱紗にお布施を包んでおき、お渡しする時は袱紗を広げ、お盆に乗せた時と同じように、封筒を僧侶が読める方向に向けてお渡しします。

 

普段やり慣れていないことなので、何度か練習しておくとスムーズに渡せます。

 

「御香典」は不要

「御香典」は不要

友人・知人として墓じまいに立ち会うことになった場合、お香典を用意する必要はありません。

 

ただし、その後の改葬や納骨式に立ち会うときにはいくらかお包みするのがマナーです。

 

新たにお墓を建てる時の建碑祝いは、親族なら2~3万円、友人・知人なら1万円が相場です。

 

建碑祝いはお祝い事なので祝儀袋を使います。

 

まだお墓が建っていない場合の改葬式や納骨式はおめでたいことではないので、不祝儀袋を使います。

この場合の表書きは「お供え」「御仏前」です。

 

お布施以外に墓じまいに必要な持ち物

 

墓じまいをするときには、お布施以外にも持ち物があります。そのお墓での最後のお弔いとなりますので、忘れずに持参してください。

 

お墓参りに必要なもの

 

通常のお墓参りに必要なものは持っていきましょう。

 

  • 数珠
  • ろうそく
  • 線香
  • ライター(またはマッチなど)

 

最後のお参りですから、お墓をきれいにするための掃除道具も忘れずに用意してください。箒や雑巾、タワシなどを用意しますが、貸してもらえる場合がありますので事前に確認しておくとよいでしょう。

 

お花やお供物

 

お墓をきれいにしたら、お花やお菓子をお供えします。

 

お線香は香炉や香立てにお供えしますが、火をつける時はライターから直接つけず、一度ろうそくに火を灯し、ろうそくからつけるのがマナーです。

 

また、火をつけたら口で息を吹きかけず、手で仰ぐかお線香を振って火を消しましょう。ろうそくの火を消すときも同様です。

 

墓じまいのときの服装のマナー

 

墓じまいに関連した行事の服装のマナーについても説明します。

 

墓じまいの時の服装

 

墓じまいの閉眼供養のときには、僧侶に来ていただきますので、喪服を着るのが基本です。

 

子供は学生服、もしくは黒・ネイビーなどの色合いの服を着せましょう。

 

僧侶を呼ばない場合には平服でも大丈夫です。ただし、一応墓じまいですから、派手な服装は控えた方が無難です。

 

開眼供養・建碑祝い

 

開眼供養・建碑祝いは弔事ではなくお祝い事ですので、喪服は着ていきません。かといってあまり派手な服装は控え、ダークカラーの落ち着いた色合いの服を選ぶのが無難です。

 

男性がネクタイをする場合は白をするのがマナーです。

 

納骨のときの服装

 

ただし、建碑祝いと同時に納骨式も行う場合には喪服が良いとされていますので、混同しないように注意してください。

 

参加する人が間違えないように、服装について事前にアナウンスしておくことをおすすめします。

 

閉眼供養の後に挨拶をして完了

閉眼供養の後に挨拶をして完了

墓じまいは、閉眼供養をして墓石を撤去したら終わりです。供養が終わりましたら、親戚や友人・知人にその旨をお知らせしておきましょう。

 

時候の挨拶とともに、墓じまいをしたこと、その後の改葬先などについて連絡をして置きます。

 

墓じまい後にバタバタしないよう、閉眼供養の前に準備をしておくとスムーズに進められます。

 

墓じまいにまつわるお金のトラブル

 

お布施は閉眼供養に対する御礼という意味合いでわかりやすいのですが、他のお金についてはトラブルに見舞われることがあります。

 

高額な離檀料を請求される

 

離檀料の相場は10万円~20万円ほどだというお話をしましたが、これはあくまでも一般的な相場ですし、もともと離檀料は法的に支払う義務のあるお金でもありません。

 

しかし、墓じまいに関する話し合いがこじれてしまうと、高額な離檀料を請求されるケースがあります。

 

寺院としては檀家がいなくなることで収益が減るわけですから、墓じまいを認めたくないという気持ちがあるのも事実です。

 

お世話になったことに対して謝礼をお渡しするのはやぶさかではないですが、たとえば100万円などといわれても払うのは難しいでしょう。

 

その場合には、素直に要求に応じる必要はなく、そのような金額は支払えないとはっきりお断りします。

 

墓じまいの相談をするときに、一方的に話をしてしまうとそのようなトラブルに発展するケースが多いようです。なるべく穏便に、気持ちよく済ませられるよう、墓じまいをしなければならない理由などを真摯に話し、理解を求めることが大切です。

 

永代使用料は返還されないことが多い

 

お墓を建てたときに、永代使用料としてまとまった金額を支払っていると人もいると思いますが、墓じまいをしたときにこの一部が返還されるかどうかは、契約書がどうなっているかによって違ってきます。

 

通常は、途中で墓じまいをしたとしても、永代使用料は返還しないとされているのが一般的です。

 

返還を求めて争いになるケースがありますが、「返還しない」と記載された契約書にサインをしていればそれまでですので、寺院や霊園に墓じまいを申し出る前に契約書を確認してみてください。

 

まとめ

 

墓じまいをするときには、墓石を撤去する前に閉眼供養が必要になります。仏様を取り出すので、一度魂を抜かなければなりませんが、その際、僧侶に読経をしていただきますので、お布施をお渡ししなくてはなりません。

 

墓じまいのお布施の相場は、通常の法要でお渡しするお布施の1~3回分といわれています。3万円~15万円程度が相場とされていますが、これだけ幅があるのは、これまでのお寺とのお付き合いの長さによって、包むべき金額に差が出るからです。

 

また、お布施とは別に、御車代、御膳料などもお渡しする場合があります。檀家だった場合には離檀料も包み、これまでお世話になった感謝の気持ちを伝えましょう。

この記事の監修者

株式会社Aクルーズ代表「天井 十秋」

天井 十秋

大阪・東京を始め、全国で「粉骨」や「散骨」など葬送事業を10年間以上携わっている天井十秋です。
ご遺骨の専門家として多くの故人様の旅立ちをサポートさせていただいております。
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