ブログ | ご遺骨の粉骨・洗骨業者
墓じまいと永代供養の違いとは?手続きや流れについて
昔は代々お墓を受け継いで行くことが普通でしたが、核家族化が進み、「家を継ぐ」といったことが少なくなってきた現代では、これから先、お墓の管理をどうするのかという問題が出てきています。
そこで、後に残される家族に負担をかけることなく供養する方法として、近年注目されているのが墓じまいをしてから永代供養する方法です。
そこで今回は、墓じまいや永代供養について詳しく説明するとともに、メリットやデメリット、手続きの流れなどについてもあわせてお話しします。
Contents
墓じまいと永代供養の違い
墓じまいと永代供養は全く違うものです。それぞれの違いを説明します。
墓じまいとは
お墓を撤去して元の状態に戻すのが墓じまいです。
ご遺骨を取り出して墓石を取り除き、墓地を更地に戻してから寺院にお返しします。
取り出したご遺骨は別の形で供養をします。
- 永代供養
- 海洋散骨
- 手元供養
- 納骨堂
- 新しくお墓を建てる
などの形があります。
子供や孫などにお墓の管理を託せない人や、お墓が遠方にあってお参りに行くことができないために墓じまいをする人が増えています。
永代供養とは
お墓の管理を自分でするのではなく、寺院にお任せするのが永代供養です。管理する人がいなくなってお墓を放置すると無縁仏になってしまいますので、供養を寺院や霊園にお任せするのです。
とはいえ、永遠に供養をしてもらえるわけでなく、17回忌、33回忌など一定期間供養した後に、別の方のご遺骨と一緒に合祀墓に移るのが一般的です。
個別に永代供養墓として区画を確保する場合もありますので、どのような形で供養していきたいかによってプランを選びます。
通常の墓地とは違い、最初に費用をお支払いすればあとは寺院・霊園が管理してくれますので、管理の手間もなく費用も抑えられます。
墓じまいや永代供養を行うことのメリット
後継者がいない人にとって、お墓をどうするかという問題は悩ましいと思いますが、墓じまいまたは永代供養をすることでほぼ解決できるでしょう。
お墓参りやお墓の管理といった肉体的な負担だけでなく、経済的な負担も軽くなるでしょう。
お墓を引き継ぐ人がいなくても大丈夫
後継者がいない場合、もし自分がいなくなったら誰がお墓の管理をするのだろう?と不安な人もいると思います。家族がいる場合でも、今後何代にも渡ってお墓を維持していくことに対して、負担をかけるのは申し訳ないと思う人もいるでしょう。
しかし墓じまいをすれば、散骨などその後の供養の方法は色々と選べますし、永代供養なら寺院にお任せできるので安心です。
お墓の掃除など手入れの必要がなくなる
近所にお墓があれば良いのですが、そうでない場合はお参りするのも大変です。特に高齢の方にとっては、通うだけでもかなりの負担になってしまうでしょう。
墓地の場所によっては、広かったり坂があったりしてたどり着くのも大変です。お墓を掃除しに行きたいけれどなかなか行けないと思っている人にとっては、墓じまいをして永代供養や手元供養にした方が心置きなく供養ができます。
永代供養なら寺院や霊園が責任を持って管理してくれますので、肉体的・精神的な不安が減り、安心しておまかせできます。
費用の負担が軽くなる
墓じまいをして永代供養にすると、費用は最初に支払うのみで、毎年払う管理費などが不要になるケースがほとんどです。これまで支払っていた管理費がかからなくなりますので、経済的な負担が軽くなります。
具体的な費用については、後ほど説明します。
檀家をやめることができる
通常、お墓を建てるということはその寺院の檀家になるということです。お墓の管理費はもちろんのこと、それとは別に檀家としての年会費、寺院で行われる法要の際のお布施、お寺の修繕費などの費用負担が発生します。
費用の金額はお寺によって違いますが、このような制度に負担を感じている人も多いでしょう。
永代供養は檀家にならなくても、誰でも利用できるとしているところが多いです。墓じまいをして永代供養にすれば、檀家をやめることができるので、これまでの金銭的・精神的な負担を減らすことができます。
墓じまいや永代供養のデメリット
墓じまいをして永代供養にすると金銭的・肉体的・精神的な負担は減らすことができますが、このようなデメリットがあることも覚えておいてください。
供養の気持ちを維持しづらい
お墓があると、「お参りしよう」「お掃除に行かないと」という気持ちが自然と起こりやすいですが、これまでのお墓がなくなってしまうとそういった気持ちを忘れてしまうという人もいます。
お寺に永代供養をしてもらっていれば供養の心配はないのですが、それでもお彼岸などは故人を思う気持ちを忘れないようにしたいものです。
ご遺骨を取り出せなくなる
永代供養の場合、一定の期間が経つと他の方のご遺骨と一緒に合祀されるケースがほとんどです。最初から合祀される永代供養もあります。
そうなると、あとからご遺骨を取り出したいと思っても、取り出すことはできません。ですから、親族と話し合いができていないうちに永代供養にすると、後々トラブルになることがあります。
墓じまいを行わないとどうなる?
後継者がいないからといってお墓を放置しておくと、どうなるのでしょうか?
誰も管理しなくなったお墓は、墓地の管理者が墓地内に親戚等、管理をしてくれる人がいないか探している旨の掲示をします。同時に官報にも情報を掲載します。
それでも連絡が来ない場合、1年経過後に無縁仏となってしまいます。ご遺骨を取り出し、墓跡を撤去した後で合祀されます。
しばらくお墓参りをしていなくて、数年ぶりに行ったら無縁仏になっていたという事態を避けるためにも、もし管理できないならばきちんと墓じまいをし、永代供養など他の方法で供養した方が良いでしょう。
墓じまいをしてから永代供養をする流れ
今あるお墓を撤去して、新たな場所で永代供養をするにはどうすれば良いか、その流れについて説明します。
おおまかに、このような流れになっています。
- 家族、親戚に墓じまいの相談をする
- 寺院・霊園に墓じまいの相談をする
- 次の供養の方法を決める
- 墓じまいに関する行政手続きをする
- 墓じまいの作業をしてくれる業者を探す
- 閉眼供養をする
- 墓じまいの作業
- ご遺骨の移転
家族・親族に相談する
まずやらなくてはいけないのは、家族や親族の同意を得ることです。もし自分がお墓の継承者だったとしても、独断でことを進めてしまうのは良くありません。
供養の方法については、人それぞれ考えがあります。墓じまいはやり直しが効きませんので、相談もせずに墓じまいをしてしまうと、後々トラブルになる可能性が大きいです。
もし反対する人がいたら、なぜ墓じまいをしなくてはならないかを真摯に説明し、理解を求めることが大切です。みんなが納得できてから、手続きを進めていきましょう。
寺院や墓地に相談する
家族・親族の同意が取れたら、寺院・霊園への相談です。これまでお墓を管理してきてくれたので、いきなり「墓じまいをしますので」と言ってしまうと角が立つこともあります。
あくまでも「相談」という形で話をした方がスムーズに進むでしょう。
寺院としては、墓じまいをすることで檀家が減るのですから、はいそうですかと納得できないこともあります。ですから、後継者がないこと、お墓参りが難しいことなどを丁寧に説明をし、同意してもらうことが大切です。
寺院からは、行政手続きに必要な書類をもらわなければならないということもありますので、トラブルにならないよう丁寧な対応が必要です。
お墓の中身を確認する
墓じまいをする前に、念の為お墓の中身を確認しておきたいところです。寺院に保管されている書類上、誰が埋葬されているのか、ご遺骨が何体分あるのかなどを確認しましょう。
行政手続きをする際には、ご遺骨1つに対して1枚の書類が必要となるためです。
もし火葬されずにそのまま埋葬されている場合には、改めて火葬が必要になります。
新しい永代供養墓を探す
墓じまいをする前に、次の供養の方法を考えておかなくてはなりません。永代供養をするなら移転先を決めなくてはなりませんし、散骨、手元供養など、どのような方法で供養するかを決めます。
ご遺骨は勝手に埋葬してはいけないと法律で定められているため、改葬先が決まらないと墓じまいができないためです。なお、手元供養や散骨の場合は特に許可は必要ありません。
最近は、檀家にもならず、宗教も関係ない永代供養墓が増えていますので、インターネット等で検索してみてください。
墓じまいにかかる行政手続き
次の供養方法が決まったら、いよいよ行政手続きです。手続きには、以下の書類が必要です。
- 受入証明書:次の納骨先からもらうもの
- 埋葬証明書:今の寺院・霊園からもらうもの
- 改葬許可申請書:役所に申請するための書類
- 改葬許可証:上記3つの書類を提出して発行してもらうもの
散骨や手元供養をする場合は受入証明書がもらえませんが、改葬には当たらないので不要です。
改葬許可証が発行されると、墓じまいが可能となります。なお、散骨や手元供養の時は改葬許可証自体を発行しないという自治体も多いです。
墓じまいの作業をしてくれる石材店を探す
行政手続きと同時に進めておきたいのが、墓じまいをしてくれる業者探しです。寺院によっては指定の石材店があり選べない場合もありますが、そうでなければ自分で依頼しなくてはなりません。
自分で選ぶ場合には、1ヶ所で決めるのではなく、いくつかの業者に見積もりをとってみて、金額と作業の内容に納得できるところを選びましょう。
閉眼供養
墓じまいの作業の前に、閉眼供養をおこないます。
お墓には仏様が宿っていると考えられていますので、お墓から取り出す前に「魂抜き」の法要をしてからでないと作業をしてくれない業者もあります。ただの墓石に戻すため、僧侶に読経をしてもらうのです。
墓じまいの作業
閉眼供養が済んだらいよいよ墓じまいです。なお、閉眼供養と墓じまいは同時に行う必要はありませんので、墓じまいの日程だけ決めておき、その日までに閉眼供養ができていれば大丈夫です。
ご遺骨を取り出して墓石を取り除き、墓地を更地に戻します。
新しい永代供養墓に埋葬する
取り出したご遺骨は、永代供養墓など次の供養先へ持っていきます。
お墓の中にあった年数によっては、ご遺骨の状態があまり良くない場合もあります。その時はいったん洗浄して乾燥させるという工程が必要となります。
その場合は、専門の業者にお願いしましょう。
墓じまいと永代供養にかかる費用
墓じまいと永代供養の費用の目安は、およそこのくらいです。
- 墓じまい:30万円~50万円
- 永代供養:5万円~150万円
それぞれ詳しく見ていきましょう。
墓石の撤去などの費用
墓じまいの作業の費用は、1平方メートルあたり10万円が相場です。つまり、墓地が大きいほど費用もかかります。費用の相場は30万円前後が一般的でしょう。
また、墓地への道が狭く、重機が入れない場所などは人の手で撤去作業をしなくてはならなくなるので、余計に費用がかかります。
閉眼供養のお布施
お布施は「気持ち」ですので、金額が決まっているわけではありません。これまでの寺院との関係性にもよりますが、一般的には3万円~5万円が相場です。
よくわからない場合には、親戚と相談するか、お寺に聞いてみてください。
離檀料
離檀料とは檀家をやめるにあたって必要とされるものですが、法的な根拠のある費用ではなく、お布施と同じく、これまでお世話になりましたという気持ちでお渡しするものです。
金額については10万円~20万円ほどが相場ですが、檀家として長くお世話になっていた場合にはもう少しお渡ししても差し支えありません。
中には法外な離檀料を請求されるなどのトラブルもありますが、先ほども説明した通り法的な根拠があるものではありません。困ったら弁護士に相談しましょう。
行政手続きにかかる費用
改葬許可証などの書類を揃える費用はそれほどかかりません。無料の場合もありますし、かかっても1,500円程度です。
永代供養にかかる費用
永代供養にかかる費用は、個別に埋葬するか、合祀墓に埋葬するかで違ってきます。ですから費用の相場は5万円~150万円とかなり幅があります。
永代供養墓に改葬する場合、移転先で開眼供養を行います。墓じまいをするときに閉眼供養をしましたので、ご遺骨を改めて埋葬するにあたり、開眼供養が必要となります。
お布施の相場は、3万円~10万円です。
墓じまいの費用が払えない時は?
墓じまいは墓地の広さ、墓石のサイズなどによって費用に幅がありますが、お布施なども含めて50万円~100万円ほどかかかるでしょう。
新たにお墓を建てるよりは低い金額ですが、まとまったお金を準備できないと悩んでいる人もいると思います。そのような時は、自治体に相談してみてください。
自治体によっては墓じまいに関する補助金を申請できることがあります。
墓じまい後の永代供養以外の供養の方法
墓じまいをした後は、永代供養以外にも供養の方法があります。いくつかご紹介しましょう。
手元供養
手元供養とは、ご遺骨を墓地に埋葬するのではなく、自宅など身近において供養することをいいます。
骨壷に入れて供養することもありますし、アクセサリーなどに加工して身につけることもあります。
お墓から取り出したご遺骨は湿気を含み汚れていることもありますので、洗浄・乾燥してから加工します。
骨壷に入れて供養する場合、乾燥させてから粉骨することで容量を1/3~1/4にすることができます。
最近の家では仏間がないことが多く、骨壷ではインテリアに馴染まないことから、おしゃれなミニ仏壇を用意したり、フォトフレーム型のオブジェの中にご遺骨を収めたり、供養の方法はさまざまです。
粉骨をすればご遺骨を分けやすくなりますので、親族で分骨し、各家庭で供養することも可能です。
海洋散骨
海洋散骨とは、粉骨したご遺骨を海に撒いて供養する方法です。海水浴場など人の多い場所では撒くことができないので、専門業者の船をチャーターして沖まで出てから散骨をします。
昨今ではお墓に入るよりも自然に還りたいという気持ちから、散骨を希望する人も増えています。
- 家族で1つの船をチャーターする個別散骨
- 複数の家族で船をチャーターする合同散骨
- 散骨業者に散骨を依頼する代理散骨
があり、費用は5万円~50万円ほどです。費用を抑えたい場合は、代理散骨を依頼すると良いでしょう。
樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりにシンボルツリーを植えてその元にご遺骨を埋葬する方法です。山林散骨と混同されがちですが、山にご遺骨を撒くのではなく、墓地として認められている場所に埋葬します。
自然の山林の中にある「里山型」と、通常の墓地のように一人分の区画の中に木を植えて埋葬する「都市型」があります。
費用は20万円~80万円ほどが相場で、区画の広さや墓地がある場所によって幅があります。個別に埋葬する方法か、合祀するかによっても費用が違います。
納骨堂
納骨堂とは、墓地ではなく、ご遺骨を納めるためのスペースを提供する施設のことで、主に屋内に作られています。
都心にあることが多く、交通の便もよく、天気も関係なくお参りができるので、きちんとお参りはしたいけれどお墓を建てるのは…と迷っている人におすすめの供養の方法です。
ロッカータイプや仏壇タイプなど安置するスペースの形によって費用が違い、10万円~150万円ほどが費用の相場です。
別のお墓に移す
今のお墓は遠くてお参りができない、しかしきちんとお墓を立てて供養したいという場合は、新たにお墓を建ててそこのご遺骨を移すこともあります。
この場合は、墓地の永代使用権と墓石の費用がかかりますので、100万円~200万円ほどの費用がかかかるでしょう。
墓じまい後に永代供養がおすすめの人
墓じまいをした後にどのようにして供養すべきか、迷うところだと思います。上記でご紹介したように、いくつか方法がありますので、無理なく供養できる方法を選んでください。
その中でも、
- お墓の管理をする後継者がいない
- でもお墓という形を選びたい
- お墓の管理費を抑えたい
という人には永代供養が向いています。
もし、散骨したい、手元供養したいなど意見が分かれてしまった場合は、分骨してそれぞれの方法で供養するという方法もありです。
墓じまいで後悔しないためのポイント
墓じまいは、一度やってしまうとやり直しが効きません。本当に墓じまいをすべきなのかどうか、よく考えたから進めていくことが大切です。
家族・親族でよく話し合うこと
お墓をどうするかという問題には、正解がありません。家族、親戚であっても、それぞれが自分の考えを持っていますから、「墓じまいすべき」と一方的に押し付けてしまってはトラブルの元になります。
なぜ墓じまいをするのか、墓じまいをした後はどのように供養をするのか、しっかりと話し合ってみんなが納得するということがとても大切です。
寺院との円満な離檀
墓じまいについて、お寺にいきなり切り出すと良い顔をされないことがあります。法的には特に拘束力もありませんから、離檀するのは自由です。しかし、できれば気持ち良く、スムーズに手続きを進めていきたいものです。
ですから、いきなり「墓じまいをします」というのではなく、墓じまいを考えた経緯についてよく説明し理解を得るように話を持っていきましょう。
長年お世話になったことについて感謝の気持ちを伝えることができれば、トラブルは避けられるはずです。
工事の見積もりは複数取ること
墓じまいの作業をしてくれる業者を探す時、複数の業者から見積もりをとってください。その上で、金額だけを見て決めるのではなく、どのような作業をしてくれるのか、その金額が適正なのか、詳細な見積もりを取った上で比較検討してください。
あまりに安い見積もりですと、必要な作業が入っておらず、後から追加請求されるというケースもあります。
決して安くはない費用がかかるのですから、わからない点はよく話を聞いて、疑問を解消してから依頼するようにしましょう。
まとめ
お墓の後継者がいないという理由で、墓じまいをして永代供養に切り替える人が増えています。
墓じまいと永代供養は違うものです。墓じまいは、ご遺骨を取り出し墓石を撤去してから墓地を更地に戻すことをいいます。
永代供養は寺院や霊園で、永代にわたって供養をしてもらう方法で、管理などは全てお任せできる方法です。
墓じまいをした後の供養の方法はいろいろありますが、費用を抑えたい、管理をする人がいなくなったあとでもきちんと供養をしてほしいと思うなら永代供養がおすすめです。
この記事の監修者
天井 十秋
大阪・東京を始め、全国で「粉骨」や「散骨」など葬送事業を10年間以上携わっている天井十秋です。
ご遺骨の専門家として多くの故人様の旅立ちをサポートさせていただいております。
ご遺族様や故人様の想いに寄り添った、丁寧な対応と粉骨をお約束いたします。
ご供養のことでお悩みがございましたら、是非お気軽にご相談ください。