ブログ | ご遺骨の粉骨・洗骨業者
墓じまいの流れと手続きとは?スムーズに進めるための注意点
お墓が遠方にあってなかなかお参りができない、お墓を継ぐ人がいないなどの理由で、墓じまいをする人が増えています。
そこで今回は、墓じまいにはどのような手続きが必要なのか、その流れについて説明します。
地方によって若干の違いがあるかもしれませんが、一般的な流れを説明しますので、ぜひ参考にしてください。
流れを知ってから手続きを始めると、墓じまいがスムーズに進んでいくでしょう。
墓じまいの流れ
墓じまいの流れは、多少の前後はありますが、おおよそこのような流れで進んでいきます。
- 親族、寺院へ相談する
- 改葬先を決める
- 改葬のための行政手続きをする
- 閉眼供養をする
- お墓の解体工事をする
- 新たな場所で供養する
それぞれ詳しく説明していきます。
家族や親戚に説明をし理解を得る
墓じまいで最初にやらなくてはいけないこと、それは家族や親族との話し合いです。
特に、何代にも渡って納骨してきたお墓でしたら、自分が会ったことのない親戚のご遺骨が埋葬されている場合もありますので、親戚一同の理解が必要です。
ご遺骨を移すことやお墓を無くしてしまうことに対して、抵抗を感じる方もいらっしゃいます。墓じまいをしてしまうと手を合わせる場所がなくなってしまうため、そのことに不安を覚える人もいます。
また、管理ができない等の理由で墓じまいをする場合に相談すれば、もしかしたらお墓を承継したいと申し出てくれる方がいらっしゃるかもしれません。
墓じまいはやり直しが効きません。なんの相談もなく墓じまいをしてしまうと、後々トラブルに発展するケースが多々見られますので、必ず親族一同の同意を得るようにしましょう。
改葬先を決める
親族の同意を得られたら、墓じまいをした後のことを考えます。お墓からご遺骨を取り出すので、別の場所にお墓を建てるのか、それとも散骨など別の形で供養をするのか、それを決めておかなくてはなりません。
行政手続きを行うために、次の受け入れ先が決まっている方が手続きがスムーズに進みます。
改葬先によって費用がかなり違ってきますし、改葬の方法によっては親族から反対の声が上がる可能性もありますので、ここは慎重に考える必要があるでしょう。
費用の目安ですが、改葬方法によって大きく違いがあります。
改葬方法 | 費用 |
一般墓(個別墓) | 100万円~300万円 |
永代供養 | 5万円~150万円 |
納骨堂 | 10万円~150万円 |
散骨 | 5万円~50万円 |
樹木葬 | 20万円~80万円 |
手元供養 | 5万円~30万円 |
自然にかえる供養の方法として散骨や樹木葬の人気が高まっていますが、手を合わせる場所が欲しいというときは、永代供養や納骨堂がおすすめです。
いずれにしてもそれなりの費用がかかることなので、よく考えて墓じまいを進めていきましょう。
永代供養墓などは募集期間が決まっていて、入りたいと思った時に入れないケースも出てきます。時間に余裕を持って進めていくことが大切です。
寺院や霊園に墓じまいをしたい旨を伝える
親族との話し合いや改葬先の検討と並行して進めたいのが、寺院との話し合いです。
公営の霊園などに納骨している場合は、利用をやめる旨を伝えれば済むことなのですが、寺院の場合は話がこじれる可能性があります。
というのも、墓じまいをするということは檀家をやめるということになりますから、寺院にとっては減収に直結します。「はいそうですか」とすんなり話が進まない場合もあるのです。
トラブルになってしまうと、埋葬証明書を出してもらえなかったり、法外な離檀料を請求されたりすることもありますので気をつけましょう。
寺院とトラブルにならないようにするためには、墓じまいをしますのでと一方的にこちらの意向を伝えるのではなく、なぜ墓じまいをしなくてはならないのか、その理由を真摯に説明することが大切です。
これまでお墓を守ってきてくださったことに対する感謝の気持ちを伝えることを、忘れてはなりません。
解体業者を探す
墓じまいをするためには、墓石を撤去して更地に戻す工事をしてくれる解体業者を探さなくてはなりません。
石材店が解体も請け負ってくれますので、いくつかの業者に見積もりを依頼してみることをおすすめします。
墓じまいの工事費については「1㎡あたり10万円前後」という相場がありますが、墓地の形や地形によっても差があります。どのくらいの費用になるのか、実際に墓地を見てもらい、詳細な見積もりをもらったほうが検討しやすいです。
ただし、お寺の墓地に納骨している場合、寺院の指定した石材店しか工事ができない場合があります。その場合は複数の業者に見積もりをお願いすることが難しいので、詳細な見積もりを出してもらうようにしましょう。
どんな作業にいくらかかるのかをよく見て、おかしいと思う点があれば納得がいくまで質問することが大切です。
遺骨の確認をする
埋葬されているご遺骨の数を確認します。改葬の手続きの時、ご遺骨1柱につき書類が1枚必要となるためです。
誰のご遺骨が何体あるのかを確認し、できればいつ頃埋葬されたのかご遺骨の状況も調べておきましょう。
役所で改葬の手続きをする
次の改葬先も決まり、業者の目星もつけたら、改葬の手続きを始めます。墓じまいは勝手にすることができず、役所の許可が必要になります。
現在お墓のある自治体の役所に改葬許可証を発行してもらって、はじめてご遺骨の引っ越しができるのです。
- 改葬許可申請書
- 埋葬証明書
- 受け入れ証明書
などを手に入れる必要があります。
詳しい手順は、次の章で説明します。
閉眼供養をする
行政手続きが済んだら、いよいよ墓じまいの作業に入ります。
墓石を撤去する前に、閉眼供養を行います。閉眼供養とは魂抜きとも呼ばれ、仏様の魂を抜き、墓石をただの石に戻す儀式です。
お寺の墓地に埋葬してある場合はそのお寺の僧侶にお願いすることになりますが、公営の墓地などに埋葬している場合は、近隣のお寺からきていただいて、供養をしてもらうことになります。
閉眼供養をしていただくときのお布施の相場は、通常の法要のお布施の1~3回分、3万円~15万円程とされていますが、地域の風習やお寺とのお付き合いの長さによっても違います。
あくまでも気持ちでお渡しするものなので明確な基準がありません。わからないときは、親戚と相談するか、僧侶に聞いてみても良いでしょう。
なお、閉眼供養は絶対に行わなくてはならないものではないですが、この儀式が済んでいないと工事を請け負ってくれない石材店も多いです。スムーズに進めるためにはやっておいた方が良いです。
墓石を撤去して更地に戻す
閉眼供養が済んだら工事が始まります。墓石を撤去し、ご遺骨を取り出して更地に戻したら墓じまいは完了です。
必ずしも立ち会う必要はありませんが、工事が滞りなく終わったかどうか、確認する意味でも立ち合いをしておいた方がよいでしょう。
次の改葬先へご遺骨を移す
墓地から取り出されたご遺骨を、次のお墓または納骨堂等へ移します。
散骨をしたり、自宅供養にする方もいらっしゃいますが、いずれにしても、埋葬していたままの状態ですと、運搬が困難です。
長期間、お墓の下にあったご遺骨は、水分を含み、カビが生えてしまっていることもあります。
専門の業者に依頼して、ご遺骨を洗浄し、乾燥させてから次の改葬先に移動させましょう。
散骨する場合には、ご遺骨をパウダー状に細かくしておく必要もあります。これも、専門の粉骨業者に依頼して、作業をしてもらいます。
墓じまいに必要な諸々の手続き
改葬許可に伴う書類や手続きについて、説明します。
改葬許可申請書を手に入れる
改葬の手続きに必要となる書類で、お墓のある自治体の役所で手に入れます。
窓口でももらえますし、ホームページからダウンロードも可能です。
埋葬証明書を発行してもらう
埋葬証明書とは、現在お墓がある寺院や霊園に発行してもらう書類で、そこにご遺骨が埋葬されていることを証明する書類です。管理者に、発行をお願いしましょう。
自治体によっては、改葬許可申請書と一体化している場合もあります。その場合は役所で書式を手に入れ、墓地の管理者に記入してもらいます。
次の改葬先から受け入れ証明書をもらう
同時に、次の改葬先から受け入れ証明書を発行してもらう手続きも進めます。
受け入れ先が決まっているという証明になりますが、これがないと改葬許可がもらえません。
ただし、散骨や自宅供養の場合には発行することができないので、そのときは役所に相談してみてください。
改葬承諾書を手に入れる(一部の方のみ)
改葬承諾書とは、墓じまいの申請をする人と、墓地の使用者が違う場合に提出する書類です。ですから、両者が同じ場合は提出する必要はありません。
書類は役所の窓口でもらうか、ホームページからダウンロードしてください。
必要な書類を役所に提出する
- 埋葬証明書
- 受け入れ証明書(お墓を立てる場合)
これらが揃ったら、改葬許可申請書とともに役所に提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。
発行手数料は無料の場合もありますが、かかっても1,500円程度です。
提出の際には、運転免許証など本人確認書類などが必要となりますので、どのような書類が必要か、あらかじめ確認してから手続きすることをおすすめします。
改葬許可証が発行される
改葬許可証が発行されたら、無事に墓じまいができるようになります。
ご遺骨を移動するために必要な書類となりますから、墓じまいの工事までに発行してもらうようにしましょう。
墓じまいの手続きで困ったときは
ここまでお話ししてきた墓じまいの流れや手続きについては、お分かりいただけたと思います。
しかし、お墓が遠方にあって手続きにいけない、お墓の管理者が分からないなど、手続きを進めていく上で問題が出てくることもあると思います。
その場合はどうすれば良いのか、解決法についてもお話しします。
墓地まで直接行けない場合
墓じまいの手続きのほとんどは、郵送でできますので、現地に行かなくても進められます。
行政手続きの書類は役所のホームページからダウンロードできますし、お墓の管理者に記入してもらう書類も、時間はかかりますが、郵送でやりとりが可能です。
ご遺骨については、墓石の解体後に送ってもらう必要がありますが、石材店がそこまで対応してくれるかどうか分かりません。
そこで、手続きも含めて、墓じまいの代行業者にお願いするという方法もあります。
墓地の管理者が不明の場合
地方ですと、共同墓地という形で管理されているお墓があり、誰が運営しているのか不明なことがあります。
そうすると、埋葬証明書を発行してもらうことができないため、まずは自治体に問い合わせをしてみましょう。自治体の方で管理者がわかるかもしれません。
また、管理者が不明で「みなし墓地」となっている場合には、自治体が運営者になります。
土葬の墓じまいをするとき
土葬であっても、ご遺骨を動かす時は改葬の手続きが必要です。
ただし、もしご遺骨が完全に土に還っていて掘り出すことができない状態であれば、改葬の手続きは不要です。
ご遺骨の状態がどうなっているか、実際に掘り起こしてみるまで分かりません。
掘り起こしてみたらご遺骨があった、となれば通常の墓じまいと同じように手続きを進めていかなくてはならないので、ご遺骨があるつもりで書類を用意しておいた方が良いでしょう。
また、掘り起こした後のご遺骨の取り扱いですが、火葬してあるものでないと受け付けてくれないところがほとんどです。土葬のままでは受け入れてもらえないので、一度火葬する手続きが必要となります。
ですので、土葬のご遺骨を移す場合には、改葬許可証を発行してもらう際に火葬許可証も同時に発行してもらってください。
納骨していないお墓を墓じまいするとき
お墓を建てたものの、一度も納骨をしていないという場合には、解体工事のみで大丈夫です。
仏様が入っていませんので、改葬の手続きも、閉眼供養も必要ありません。
ただし、納骨するつもりでお墓の建設時に開眼供養をしている場合には、ご遺骨がないとしても閉眼供養は必要になります。
その場合は、僧侶を読んで読経だけはしてもらってください。
墓地の所有者が個人のとき
家の敷地内や個人が所有する山の中などにあるお墓は、管理者も個人である場合が多いです。
管理者がいれば、その人に埋葬証明書の記入をして貰えば良いのですが、もし所有者が亡くなっていたり、不明だったりした場合には、どうすれば良いか役所で相談してみてください。
散骨や手元供養を選択して受け入れ証明書がもらえないとき
次の改葬先が、墓地や納骨堂などではない場合、受け入れ証明書がもらえないことがあります。散骨や手元供養をする時です。
基本的には受け入れ証明書がないと改葬許可証が発行されないため、どうすれば良いか役所で相談してみましょう。
原則として、散骨や手元供養では改葬許可が不要となりますが、念のため、墓じまいの前に確認しておくことをおすすめします。
お寺から法外な離檀料を請求されたとき
墓じまいをしたいとお寺に申し出たときに、納得してもらえず、法外な離檀料を請求されるケースがあります。
離檀料は法的な根拠のある支払いではなく、あくまでも感謝の気持ちを表すものです。ですから、もし「100万円払って欲しい」など高額な離檀料を請求されても、応じる必要はありません。
はっきりと支払えない旨を伝え、常識的な範囲内の金額でお渡しすれば大丈夫です。
もし話がこじれてしまった場合には、弁護士など第三者を交えて話すことをおすすめします。
墓じまいのときに注意したいこと
墓じまいの手続きがスムーズに進むように、以下の点に注意をしてください。
お墓に複数のご遺骨が納骨されている場合
改葬許可申請書は、原則としてご遺骨1体につき、1枚必要です。1枚しか用意していなかったのに、お墓を解体してみたらご遺骨が3体あった、となると墓じまいがそこでストップしてしまいます。
ですから、事前にご遺骨の数を確認しておくことが大切です。
ただし、自治体の中には1枚の申請書で複数体の申請ができる場合もあります。事前に確認しておくと良いでしょう。
改葬許可申請書は申請者が記入すること
改葬許可申請書は、申請する本人が記入することとなっていますので、もしどうしても自分が記入できない事情があるなら、代理人にお願いしなくてはなりません。
その際は、委任状が必要となりますので、早めに準備しておきましょう。
墓石の解体工事の前には手続きを済ませておくこと
閉眼供養を終えて解体工事が始まる前に、書類が揃っていなくてはなりません。
墓石を解体してご遺骨を取り出したら、すぐに改葬先に移送するか、自宅へ持って帰ることになりますので、それまでに改葬許可証を発行してもらいましょう。
発行には時間がかかる場合もあるので、少なくとも工事の1ヶ月前には着手しておきたいところです。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用がどのくらいになるか、改葬先の違いによってかなり幅があります。
墓じまいの工事自体は墓地1㎡あたり10万円前後が相場ですので、お布施などを含めても50万円ほどで済むでしょう。
またお墓を建てるのか、散骨など費用を抑えられる方法にするのか、改葬先をどうするかでトータルの費用が変わってきます。
墓じまいの費用は誰が負担すべきか
基本的にはお墓の承継者が負担するケースが多いです。本家の直系またはその家の長男が多いでしょう。
その地域の慣習にもよりますが、昔とはいろいろなことが変わってきました。必ずしも、承継者一人が負担すべきものでもありません。
お墓の問題は親族全体の問題ですから、家族、親族で話し合い、みんなで負担し合うというのももちろんありです。
墓じまいの費用が払えないとき
いずれにしても数十万円というお金がかかることですので、お墓の承継者ひとりが負担するのは辛い場合があると思います。
そのような時は、銀行のメモリアルローンを利用するという方法もあります。
メモリアルローンは、お墓を建てることに特化したローンですので、フリーローンよりも金利が低いのが特徴です。
または、できるだけ費用を抑えられる改葬方法を選ぶのも、一つの方法です。業者にお願いして散骨してもらう代理散骨なら5万円程度で済みます。
まとめ
墓じまいはの流れは、まず親族と相談するところから始まります。どんなに急いでいても、親族の同意を得ずに進めることはよくありません。
墓じまいをする理由を説明し、みんなが納得してから進めるようにしましょう。また、寺院とも話し合いが必要です。こちらも話がこじれないように、墓じまいの必要性を真摯に説明し、理解を求めるようにしてください。
話し合いがついたら、解体工事をしてくれる石材店を探し、同時に行政手続きも進めていきます。工事を行う前に改葬許可証を発行してもらう必要がありますので、工事の1ヶ月前くらいから手続きを進めると良いでしょう。
この記事の監修者
天井 十秋
大阪・東京を始め、全国で「粉骨」や「散骨」など葬送事業を10年間以上携わっている天井十秋です。
ご遺骨の専門家として多くの故人様の旅立ちをサポートさせていただいております。
ご遺族様や故人様の想いに寄り添った、丁寧な対応と粉骨をお約束いたします。
ご供養のことでお悩みがございましたら、是非お気軽にご相談ください。