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墓じまいで後悔しないためには?トラブルを防ぐための9つの方法
お墓を継いでくれる家族がいない、遠方にお墓があってお参りするのが難しくなってきたなどの理由で、墓じまいをする人が増えています。
しかし、墓じまいをするときに、家族・親族の間での話し合いが不十分だったり、思いのほか費用がかかってしまったりと、トラブルに見舞われることがあります。
亡くなった方にも、供養を続けていく自分たちのためにも最善の方法だと思って墓じまいをしたはずが、後悔するような事態になってしまうのはとても残念です。
そこで、どうすれば墓じまいで後悔せずに済むのか、起こりがちなトラブルとそれを防ぐための方法についてお話しします。
Contents
墓じまいで起こるトラブル
お墓を管理する人にとっては最善の方法でも、親族の中にはそう思わない人もいます。また、墓じまいには費用がかかりますが、工事の費用が高くなったり、寺院が納得せず高額な離檀料を請求されたりするトラブルがあります。
親族の反対にあう
お墓を壊してご遺骨を取り出すということに抵抗を感じる人は少なくありません。また、墓じまいをすることで、お参りする場所がなくなってしまうということに反対する人もいるでしょう。
先祖代々のお墓だと、直系の親族だけでなく、傍系の親族のご遺骨が収められている場合もあります。普段顔を合わせることがない親戚が、お参りに来ているかもしれません。
地方では、長子がお墓を継承するものだという考え方がいまだに根強い地域もあります。高齢の方は特に抵抗感が強いかもしれません。
反対がある状況で墓じまいを強行してしまうと、親戚関係が悪化してしまうこともあります。
子供のためにと思ったことが裏目に出る
墓じまいに反対するのは、高齢の方だけではありません。親が残される子供のために、なるべく負担をかけないよう墓じまいを選択したのに、子供が墓じまいに反対だったというケースもあります。
子供としては、当然のようにお墓を継ぐつもりだったのに、
「若い人はお墓を承継したくない」
「お墓の管理なんてしたくない」
という親の思い込みから墓じまいをしてしまうのは、よくないということです。
費用負担で揉める
墓じまいをするのは良いけれど、誰が費用を負担するのかで揉めるケースもあります。墓じまいは工事やお布施、離檀料など数十万円の費用がかかります。墓じまい後の供養の方法によっては、数百万円と高額になる場合もあります。
お墓の承継者のみで負担するのか、親戚一同で負担するのか、折り合いがつかず、墓じまいの話がストップしてしまうこともあります。
寺院がすんなり墓じまいを認めない
墓じまいをするためには、今埋葬している場所から「埋葬証明書」を発行してもらう必要があります。
そのため、墓じまいをすることを寺院に伝えなくてはなりませんが、なかなか墓じまいに同意してくれないことがあります。
寺院としては、檀家が減るため、すんなり承諾しがたく、何かと理由をつけて埋葬許可証を発行しないというケースがあります。
高額な離檀料を請求される
離檀料とは、檀家でなくなることに対して、「これまでお世話になりました」という気持ちを込めてお渡しするお布施です。
気持ちですから、明確に金額が決まっているものでもありません。一般的には、10万円~20万円程度が相場とされています。
法的な支払い義務のあるお金ではないため、離檀料を支払わなければ墓じまいができないということはないのですが、離檀料を払わないと埋葬許可証を発行しないといわれて困ってしまうことがあります。
指定の石材店の見積もりが高すぎる
墓じまいの工事を自分ですることは難しいため、石材店や解体業者に依頼します。寺院によっては指定の業者があり、見積もりを聞いたらあまりに高く、驚いてしまうことがあります。
墓じまいの工事費用の相場は、1㎡あたり10万円前後とされています。ですので、墓地が広いほど費用が高くなりますし、斜面など工事がしづらい場所ですと高額になりがちです。
ただ、そのような明確な理由があるなら納得がいきますが、中にはなぜその金額になるのか、わからない見積もりもあります。寺院からは指定業者に頼むしかないといわれ、その金額で工事を依頼すべきなのかと困ってしまうケースがあります。
石材店から追加で高額な費用を請求された
墓じまいの工事をした後に、高額な請求をされて困るケースがあります。見積もりで30万円といわれたのに、実際に工事をしたら追加料金があって40万円請求された、というようなケースです。
墓石が不法投棄された
墓じまいで撤去した墓石は産業廃棄物として取り扱われることになります。回収された墓石は砂利などの土木資材としてリサイクルされることになっています。
産業廃棄物を取り扱うには許可証が必要で、誰でも墓じまいができるわけではないのです。
ところが、産業廃棄物を取り扱う許可証を持っていないのに工事を請け負っている業者がおり、墓石が不法投棄されているケースがあります。あまりに安い料金で工事をしている業者の中には、このような悪質な業者である場合もあります。
改葬の方法で後悔する
墓じまいをした後の供養の方法はいろいろあります。別のお墓に移すこともありますし、散骨や手元供養にする人もいます。
問題は、墓じまいをした後にお参りする場所がなくなってしまうことです。たとえば、ご遺骨をすべて散骨にしてしまうと、故人に手を合わせる場所がなくなり、悲しみを癒すことができなくなってしまうことがあります。
墓じまいのトラブルを防ぐ9つの方法
墓じまいは、一度してしまったら元に戻すことができません。親族や寺院とのトラブルを防ぐため、また、自分自身が後悔しないためにも、よく考え、話し合ってから進めることがとても大切です。
1.墓じまいをする前に親族とよく話し合うこと
墓じまいは、心の問題でもあります。人それぞれに故人に対する思いがあり、お墓のあり方への考え方も違います。
管理費が浮く、お手入れに行かなくても済む、というような理由だけで強行してはいけません。
なぜ墓じまいをすべきなのか、その理由を真摯に説明し、理解を求めることが大切です。
墓じまいをすること自体に賛成してもらうことはもちろん、墓じまい後の供養の方法についてもしっかりと話をして納得してもらいましょう。
お墓を移すことには賛成をしても、合祀をすることには反対な人もいます。散骨は、自然にかえることができると人気の供養の方法ではありますが、お参りする場所がなくなってしまうことから、反対される方もいます。
どのような供養の方法が良いのかも含め、親族でよく話し合い、みんなが納得できる方法が見つかってから墓じまいに着手しましょう。決して、強行してはいけません。
2.お墓を継承するかどうかについてもよく話し合う
墓じまいをすべき、という前提で話すのではなく、誰かお墓をついでくれないか?という話をすることも大切です。
もしかしたら、あっさりと「自分がつぐ」と子供が申し出てくれる可能性もあります。とりあえず管理をしてくれる人がいるなら、今すぐ墓じまいをしなくてもよくなります。
子供に迷惑がかかるから、というのは親の勝手な思い込みかもしれません。家族、そして身近な親戚にお墓を継いでくれる人がいないか、念のため聞いてみてください。
3.費用負担についてもよく話し合う
一般的に、墓じまいの費用はお墓の管理をしている人が負担します。ただ、その後の供養の方法によっては数百万円になることもあるため、できるだけ協力してもらえるよう、親族にも話をしてみましょう。
まずは工事費等の見積もりをもらい、トータルでどのくらいかかるのかを算出します。そのうえで、1家庭あたりどの程度負担してもらえるか、金額を相談してみます。
そして、最終的に決まったことは、文書にしておくことをおすすめします。あとで、「あの時こう言った」などのトラブルをおこさないためです。
4.寺院には「相談」という形にする
お寺に、いきなり「墓じまいをします」と決定事項のように話すと角が立ちます。とりあえず、「相談」という形で話を進めましょう。
墓じまいをしなくてはならない理由を真摯に説明し、これまでお世話になった感謝の気持ちも伝えます。その話し合いの中で、墓じまい後に、管理の手間がない永代供養墓への移転を提案されるかもしれません。
寺院によっては、何らかの方法で離檀を阻止したいという気持ちもありますので、対応できる内容であればこちら側が譲歩することも考えてみましょう。
そのまま墓じまいの話を進めるとしても、できるだけ気持ちよくお別れできるよう、丁寧に話し合いを進めていきたいものです。故人もきっとそう望んでいるはずです。
5.高額な離檀料は弁護士に相談する
寺院との話し合いの中で、高額な離檀料を請求されてしまうケースがありますが、まず応じられないことを冷静に伝えます。ここで、言われるがままに支払う必要はありません。
離檀料は法的な支払い義務のあるお金ではありませんので、あくまでも気持ちをお渡しするものだということについて、理解を求めましょう。
しかし、それでも納得してもらえばい場合は、致し方ないですが、弁護士など第三者を交えて話をすることをおすすめします。
6.他の石材店で見積もりを取らせてもらえるよう寺院に相談する
石材店や解体業者が指定されていなければ、好きなように見積もり依頼ができるのですが、指定されているとそうもいきません。
しかし、見積額に納得がいかない場合、そのまま工事を依頼する必要はありません。まずは、なぜその金額になるのか、細かい内訳などを聞いてみてください。
それでも納得できない場合には、他社でも見積もりを取らせてもらえないか、寺院に相談してみましょう。
墓じまいをするときは寺院の敷地内に入りますので、寺院の許可なく勝手に業者を入れることはできません。ですから、なぜ他社で見積もりを取りたいのかを説明し、必要ならば見積もり時に立ち合いをしてもらうようにすれば、見積もりを取らせてもらえる可能性があります。
あとになって、こんなにかかるはずがないと後悔しないように、工事を依頼する業者はよく吟味しましょう。
7.工事を依頼する前に詳細な見積もりを取ってから契約すること
大まかな見積もりを見て、これでいいやとすぐに契約するのも危険です。本当にその工事内容で確定なのか、あとから追加請求などされないか、詳細までしっかり確認をしてから契約をしてください。
契約書を見て不明な点があれば、どんな小さなことでも良いので、質問をして疑問が解消されてから契約します。一度契約書に署名してしまえば、後から何を言っても無駄ですので、契約手続きは慎重に行います。
8.石材店からマニフェストを見せてもらう
墓じまいの工事をしてくれる業者が、産廃業者の許可を得ているかどうかを確認することも大切です。「マニフェスト」とは産業廃棄物が適正に処理されたかどうかをチェックする書類ですが、それを見せてもらえるかどうか聞いてみます。
業者が墓じまいをする人にこの書類を見せる義務はありませんが、見せて欲しいとお願いすれば見せてくれるはずです。逆に、見せられないと断れれば、見せられない理由があるのではないかと疑いたくなります。
もしくは、産廃業者としての許可を得ているかどうか、調べる方法もあります。環境省のホームページに、「産業廃棄物処理者情報検索システム」があります。業者名や会社の所在地、固有番号、許可番号などで正規の業者かどうか検索ができます。
許可を受けている業者であればヒットするはずなので、その業者のホームページ等の情報で検索してみてください。
9.分骨してご遺骨を残しておく
墓じまいをした後、全てのご遺骨を散骨すると、のちのちお参りをしたいと思った時にできない場合があります。また、合祀墓に納骨する場合も、個別にお参りできないことに抵抗を感じる方もいます。
そこで、取り出したご遺骨を分納し、一部手元に残しておく、もしくは希望する親族で分けるという方法があります。
そうすれば、手元供養をしたり、お参りしやすい場所にある納骨堂を利用したり、それぞれが理想とする方法で供養ができるでしょう。
まとめ
墓じまいは、やり直しが効きません。墓じまいに反対する親族もいますし、寺院側がなんとかして墓じまいを阻止しようとすることもあるでしょう。
親族間で意見が対立したまま墓じまいを強行するのはよくありません。関係が悪化してしまいます。また、寺院と対立すると、なかなか埋葬証明書を出してくれないなど、墓じまいがスムーズに進まない恐れもあります。
大事なことは、墓じまいをお墓の管理者が一方的に進めるのではなく、関係する人たちの話を聞きながら、墓じまいをすることへの理解を求め、納得してもらってから進めていくことです。
親族や寺院とトラブルになることは故人も望んでいないでしょう。みんなが幸せになれるように、しっかりと話し合いをしながら、後悔のないように進めてください。
この記事の監修者
天井 十秋
大阪・東京を始め、全国で「粉骨」や「散骨」など葬送事業を10年間以上携わっている天井十秋です。
ご遺骨の専門家として多くの故人様の旅立ちをサポートさせていただいております。
ご遺族様や故人様の想いに寄り添った、丁寧な対応と粉骨をお約束いたします。
ご供養のことでお悩みがございましたら、是非お気軽にご相談ください。