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閉眼供養のお布施はいくら包む？相場と注意点を紹介
閉眼供養（へいがんくよう）は、お墓や仏壇から魂を抜く儀式で、墓じまいや仏壇の処分時に行われます。このとき、僧侶に読経を依頼し、お布施を渡すのが一般的です。
お布施の相場は3万円～10万円程度ですが、地域や寺院との関係性によって異なります。また、御車代や御膳料など、追加の費用も考慮する必要があります。
この記事では、閉眼供養のお布施に関する相場やマナー、準備すべきことなどを詳しく解説します。
閉眼供養とは魂を抜く儀式のこと
閉眼供養の基本的な知識について、説明します。
閉眼供養を行うタイミング
閉眼供養は、一般的にお墓の改葬や墓じまいなど、故人様の魂が宿ると考えられているものを移動したり、処分したりする場合に行われます。
- お墓の改葬：お墓を別の場所に移転する
- 墓じまい：お墓を撤去する
- 仏壇の処分や買い替え時
など。
これらのタイミングで、故人の魂を元の場所から離し、新しい場所へと導くために行われる儀式です。
閉眼供養は絶対に必要？
仏教の教えでは、お墓や仏壇には故人の魂が宿るとされています。そのため、これらを撤去や処分する際には、僧侶による読経を通じて魂を抜き、供養をすることが適切とされています。これは故人や先祖への敬意を示し、家族の心の区切りをつける意味でも重要です。
このように、閉眼供養は仏教の習慣に基づく儀式ですが、必ずしもすべての宗派で行われるものではありません。また、宗派によってもその考え方は異なります。
たとえば、浄土真宗では、そもそもお墓に故人様の魂が残っているとは考えていないため、閉眼供養は必要ありません。
また、閉眼供養は宗教的儀式であるため、法律で義務付けられているわけではありません。しかし、儀式を行わずにお墓を撤去することは、不作法とみなされることがあり、業者が墓石の撤去をしてくれないこともあります。
閉眼供養は義務付けられているものではないですが、儀式を通じて供養を行うことで、遺族が故人や先祖への感謝の気持ちを表し、心の整理をつけることができます。宗教的な信仰がなくても、閉眼供養を行うことで精神的な安心感を得られる場合があります。
閉眼供養はお墓の継承者が執り行う
閉眼供養を行う責任は、通常、お墓や仏壇の継承者にあります。
お墓や仏壇の管理や維持は、家系の継承者の責任とされています。そのため、閉眼供養も継承者が中心となって手配し、実施するのが一般的です。
儀式の日時を決め、僧侶を手配する役割を担うのも継承者の責任です。
閉眼供養のお布施は？費用の相場
閉眼供養にかかる総費用は、お布施、御車代、御膳料、離檀料を合わせて10万円～数十万円が目安です。特に離檀料が高額になる場合があり、事前に費用を確認し、家族で相談することが大切です。
お布施の相場は3万円～
お布施3万円～10万円程度が一般的ですが、地域や宗派、寺院との関係性によって異なる場合があります。
その他、
- 御車代：5,000円～1万円程度
- 御膳料：5,000円～1万円程度
上記は、お布施と別に包むのが礼儀です。封筒には「御車代」「御膳料」と記載します。遠方から来てもらう場合や移動が特別な手段を伴う場合は、その分上乗せするのが一般的です。
離檀料とは檀家を辞める際に寺院に支払う費用です。
閉眼供養に関連して支払う場合が多く、寺院の維持や管理への感謝の気持ちとして渡されます。5万円～20万円が一般的ですが、場合によっては数十万円になることもあります。
長期間檀家として関わってきた場合や、特別な理由がある場合には高額になることもあります。離檀料の金額は明確な基準がないため、事前に住職と相談して決定するのが望ましいです。
お布施などの費用を抑えるポイント
費用が気になる場合、事前に僧侶や寺院に相談して、予算内で可能な供養の内容を提案してもらうとよいでしょう。
また、地域によって相場や習慣が異なるため、周囲の人や親族に相談して情報を集めることも大切です。
お布施の準備と渡し方
閉眼供養におけるお布施は、僧侶への感謝の気持ちを表す重要なものです。適切に準備し、正しいマナーでお渡しすることが大切です。
お布施は不祝儀袋に包む
お布施を渡す際には、不祝儀袋や白無地の封筒を使用します。
閉眼供養はお祝い事ではなく、供養の場であるため、不祝儀袋を用います。黒白や双銀の水引がついたものが適しています。
簡易な方法として、無地の白封筒を使うことも可能です。この場合は水引が不要ですが、あらたまった場では不祝儀袋を使う方が丁寧です。
現金をそのまま渡すのは失礼にあたります。必ず封筒に入れて渡しましょう。
表書きと裏書き
表書きと裏書きは、お布施を渡す際のマナーの一部です。書き方を間違えないようにしましょう。
- 表書き：中央上部に「御布施」と書く。他に「読経料」や「御供養料」もあり
- 裏書き：封筒の裏面、または不祝儀袋の裏面に、自分の名前と住所を記載する
封筒の裏面に金額を記載する場合もありますが、これは地域の習慣によるため、事前に確認すると良いでしょう。
毛筆や筆ペンを使うと丁寧ですが、なければ黒のボールペンでも問題ありません。
お布施を渡すタイミング
お布施は、閉眼供養が始まる前に渡すのが基本です。と事前に渡すことで、僧侶に安心して儀式を執り行っていただけるでしょう。
ただし、バタバタしてしまって事前に渡せないこともありますし、地域や慣習によっては、儀式が終わった後に渡す場合もあります。この場合でも、読経していただいたことへの感謝の言葉を添えることが大切です。
お布施をお渡しする方法
お布施を渡す際には、直接僧侶の手渡しは避け、袱紗（ふくさ）や切手盆の上に乗せて渡します。切手盆とは、主に冠婚葬祭や儀礼の場で使用される小型のお盆の一種です。お布施や香典、御祝儀などを渡す際に使用します。
- 僧侶の前で、袱紗から不祝儀袋を丁寧に取り出します。
- 不祝儀袋を両手で持ち、僧侶に正面を向けて渡します。
- 目線を僧侶より低くし、軽く頭を下げます。
「本日はありがとうございます」や「どうぞお納めください」といった感謝の言葉を添えるのが丁寧です。
寺院で渡す際には、受付や本堂に用意された台に置くこともあります。この場合でも、両手で丁寧に置くことが重要です。
閉眼供養を行う時の手順
閉眼供養を行うと決めたら、このような順序で進めていきます。
次の供養の方法を決める
閉眼供養を行う前に、次にどのような供養を行うかを決める必要があります。
- お墓の移転（改葬）：別の墓地に移す場合
- 永代供養墓：管理が不要な供養先を選ぶ場合
- 散骨や手元供養：自然葬や遺骨を自宅で保管する方法
親族全員で話し合い、全員が納得する形で供養の方法を決めることが重要です。トラブルを避けるために、早めに連絡をとって、広く意見を聞くことが大切です。
ここで、一方的に話を進めてしまうと、後々しこりが残りますので、気をつけてください。
菩提寺へ連絡（相談）する
供養方法が決まったら、菩提寺（またはお墓を管理する寺院）に連絡を取り、具体的な相談を行います。
- 閉眼供養の儀式の日時や内容
- お布施の金額
- 離檀料の支払い方法（菩提寺から離れる場合）
このとき大切なのは、改葬や墓じまいが、一方的な通告とならないよう、「相談」という形でお話しすることです。
菩提寺にとっては、檀家がいなくなるということですから、いきなり話を持ってこられても承諾し難い場合もあります。そのため、お墓を維持することが難しいことを丁寧に説明し、理解を求める姿勢が必要です。
菩提寺がない場合は、近隣の寺院や葬儀社に相談すると、僧侶を紹介してもらえる場合があります。
日程を決めて石材店にも依頼する
閉眼供養の日程を菩提寺や僧侶と相談して決定した後、石材店にも依頼をします。
石材店はお墓の撤去や移転の作業を行うと同時に、必要に応じて、新しい墓石の準備や設置を行ってくれます。
閉眼供養の儀式が終わった後に撤去作業を開始するため、供養のスケジュールと石材店の作業日程を調整します。
親族に連絡する
閉眼供養の日程が決まったら、親族に連絡し、参列を呼びかけます。服装についても伝えておくとよいでしょう。
新たなお墓に移す場合は埋葬証明書や改葬許可証を取得
お墓を移転（改葬）する場合には、必要な手続きを行います。
- 埋葬証明書：故人の死亡を証明する書類で、現在埋葬している場所で発行してもらう
- 改葬許可証：お墓を移転する際に必要な許可証で、市区町村役場で取得する
＜手続きの流れ＞
- 現在の墓地管理者から埋葬証明書を取得する
- 新しい墓地が決定したら、管轄の役所にて改葬許可証を申請する
- 改葬許可証を受け取り、新しい墓地の管理者に提出する
手続きに時間がかかる場合があるため、早めに準備を進めておくと安心です。
墓じまい後に親族や知人に挨拶状を送る
墓じまいが完了したら、親族や知人に対して挨拶状を送ります。
- 閉眼供養を行ったこと
- 感謝の言葉
- 今後の供養について
などをお知らせしましょう。
親族だけでなく、故人と関係の深かった知人や友人にも送ると丁寧です。墓じまいが完了して1か月以内を目安に送付しましょう。
閉眼供養当日の流れ
閉眼供養の当日の流れについて、説明します。
お墓をきれいに掃除してお供物をする
掃除は故人様や先祖への感謝を表す大切な行為です。雑草を取り除き、墓石を磨き上げ、清浄な状態にします。掃除の際には、水桶やたわし、雑巾などを持参すると便利です。
お墓がきれいになったら、お供物をします。宗派によって若干の違いがありますが、一般的には以下の5つのものをお供えします。これらを「五供（ごく・ごくう）」といいます。
- 香（こう）：お線香を供える
- 花：仏花として菊や蓮の花がよく使われる
- 灯燭（とうしょく）：ろうそくを立てて灯す
- 浄水：清潔な容器に水を入れて供える
- 飲食（いんじき）：米、果物、お菓子、団子などが供えられることが多い
お供物については、地域や宗派によって異なるので、事前に確認して準備します。
僧侶に読経してもらう
お墓に宿っているとされる故人の魂を抜き、成仏させるための儀式を行います。この読経を「閉眼法要」と呼ぶこともあります。
参列者は静かに耳を傾け、手を合わせて故人への祈りを捧げます。
会食
供養後に親族が集まり、故人の思い出を語り合う場を設けることは、供養の一環とされています。遠方から集まった親族と交流を深める場としても重要です。
会食は、自宅や料亭、ホテルの会場などで行うことが一般的です。
会食はあくまで簡素で控えめにするのが望ましいとされています。派手な宴会は避け、供養の意図を大切にします。
墓じまいをする場合はお墓の撤去を行う
事前に依頼した石材店が、墓石の撤去作業を行います。墓石は取り壊すか、新しい墓地に移設します。
僧侶の読経の後、ご遺骨を取り出し、改葬や供養に備えます。撤去後、墓地を更地に戻す作業が行われます。
ご遺骨は、事前に決めた新しい墓地や納骨堂に移されます。
閉眼供養のマナーと注意したいこと
故人やご遺族への敬意を払い、閉眼供養をスムーズに進行するためには、いくつかのマナーや注意点を守ることが大切です。
お供物のマナー
お供物は、故人や先祖に感謝を示し、供養するために欠かせないものですから、選び方や準備の仕方に注意が必要です。
＜お供物の選び方＞
- 供花：白を基調とした花が適しています。菊やユリ、カーネーションなどが一般的です。ただし、地域や宗派によって異なる場合があるため、事前に確認すると安心です。
- 食品類：果物やお菓子が主流です。リンゴ、みかん、バナナなど手軽に供えられる果物が多く選ばれます。包装された和菓子や干菓子も適しています。
- 避けたいもの：肉や魚、アルコール飲料など、供養の場にふさわしくないものは避けましょう。
＜供え方＞
お供物は、仏前や墓前に丁寧に供えます。包装紙がある場合は外して、中身を見えるようにして供えるのが一般的です。供えた後は、一部を持ち帰り、家族でいただくのが作法とされています（お下がり）。
お供物は供養後に持ち帰ることを前提とするため、量やサイズを考慮して準備しましょう。
服装のマナー
必ずしも喪服でなくても構いませんが、儀式の意味を考慮し、落ち着いた色合いの服装を選びます。
＜男性＞
ネイビー・黒・グレーなどのダークスーツ、白ワイシャツ、ネクタイ・靴下・靴は黒
＜女性＞
ネイビー・黒・グレーなどのワンピースやアンサンブル、黒いストッキング、ローヒールの黒い靴
派手なアクセサリーは避け、シンプルなものを選びましょう。
夏場は軽装が認められる場合もありますが、黒を基調とした装いにしましょう。地域や宗派によっては指定の服装がある場合がありますので、事前に確認しておくと安心です。
お葬式ではないものの、ジーンズや派手な柄物などのカジュアルすぎる服装は避け、故人様や遺族への敬意を示す装いを心がけます。
参列者は香典不要
閉眼供養では、一般的に香典は不要とされています。
閉眼供養は遺族が主体となって行う供養であり、香典を持参することは通常ありません。特に墓じまいを伴う場合、遺族が供養の費用をすべて負担するため、参列者に香典を求めることは稀です。
香典が不要な場合でも、どうしても感謝やお悔やみの気持ちを伝えたい場合は、お花やお供物を渡す形で気持ちを表すのが良いでしょう。
香典を渡す場ではないことを理解し、無理に持参しないようにします。逆に、供物やお花を渡す場合も、事前に遺族に了承を得るのが丁寧です。
閉眼供養の後の供養の方法
閉眼供養が終わったら、ご遺骨を移し、新たな場所での供養が始まります。供養の方法にはいくつかあります。
新しくお墓を建てる
新しいお墓を建てて供養する方法です。特に家族墓や個人墓を望む場合に選ばれます。
現在の墓地から別の墓地へ移転し、家族や子孫に継承していく伝統的な方法です。
新しい墓地の永代使用料や墓石の建立費用として、100万円～300万円ほどかかるでしょう。
費用はかかりますが、従来の風習を大切にできますし、家族全員が集まりやすい場所を選ぶことで、供養を続けていきやすいです。
永代供養墓に移す
永代供養墓は、遺族に代わって寺院や霊園が永続的に供養を行います。遺族が参拝や管理を行えない場合に最適な方法です。
費用は、永代供養料として10万～50万円程度かかります。基本的には最初にまとめて費用を払い、その後の管理費などは発生しません。
管理負担が軽減されるため、遠方に住んでいる人や、遺族や後継者がいない場合でも安心です。
ただし、合祀墓の場合、一度納骨すると遺骨を取り出せないため、慎重に検討してください。なお、個別墓に納骨する場合でも、三十三回忌など一定の期間を経て、合祀されることが多いです。
納骨堂に安置する
納骨堂は、遺骨を室内に保管する施設で、主に都市部で特に普及しています。
ご遺骨をロッカー型や棚型のスペースに安置します。室内施設のため、天候に左右されずに参拝が可能です。
費用は、どのような形で納骨するかによってかなり幅があり、スペースが小さければ20万円～50万円ほど、仏壇のように大きなスペースを取ると100万円程度かかることもあります。
その他、年間管理費として1万～3万円程度必要です。
個別で納骨しても、一定期間後に永代供養墓へ移される規定がある場合もありますので、契約内容をよく確認してください。
散骨する
散骨は、遺骨を粉末状にして自然にかえす方法で、海や山などに散骨します。いくつか種類がありますが、一般的に散骨というと、海洋散骨を指すことが多いです。
費用は
- 小型～中型の船：20万円～30万円程度
- 大型の船：40万円～50万円程度
- 合同散骨：10万円～20万円程度
- 代理散骨：5万円前後
という金額が目安となります。
お墓の管理が不要で、遺族の負担が少ないというメリットはありますが、一度散骨してしまうと手元にご遺骨が残りません。
お参りする場所がなくなってしまうことをデメリットだと感じる人もいますので、家族でよく話し合うことが大切です。
手元供養
手元供養は、遺骨やその一部を自宅で保管し、日常的に供養を行う方法です。
遺骨を小型の骨壷に入れて安置したり、アクセサリーに加工して身につけます。家族が近くに感じながら供養できます。
独り暮らしの親族や後継者がいない場合にも適した方法ですが、最終的にはご遺骨を誰かに継承しなくてはなりません。
まとめ
閉眼供養は、故人や先祖に対する感謝と敬意を込め、魂を浄化して安らかな旅立ちを祈る重要な儀式です。
この際に渡すお布施は、僧侶への感謝を表す心のこもった贈り物であり、金額や形式だけでなく、マナーを重んじることが大切です。不祝儀袋に包み袱紗に入れて準備し、渡すタイミングや言葉遣いにも配慮しましょう。
また、お布施以外にも、御車代や御膳料を用意する場合があるため、事前に寺院や僧侶に確認すると安心です。
この記事の監修者
天井 十秋
大阪・東京を始め、全国で「粉骨」や「散骨」など葬送事業を10年間以上携わっている天井十秋です。
ご遺骨の専門家として多くの故人様の旅立ちをサポートさせていただいております。
ご遺族様や故人様の想いに寄り添った、丁寧な対応と粉骨をお約束いたします。
ご供養のことでお悩みがございましたら、是非お気軽にご相談ください。
