仏壇じまいで迷わない！処分方法、費用、注意点まとめ

仏壇じまいで迷わない！処分方法、費用、注意点まとめ

近年、住宅事情の変化やライフスタイルの多様化により、仏壇じまいを検討する方が増えています。しかし、いざ仏壇を処分しようとすると、どうすれば良いのかわからないと迷ってしまう人が多いのも事実です。

仏壇は単なる「もの」ではありません。ご先祖様を祀ってきた大切な礼拝施設です。そのままゴミとして出すわけにはいきません。

そこで今回は、仏壇じまいの方法や費用の相場、注意点などについて詳しく解説します。これから仏壇じまいを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

仏壇じまいとは仏壇を適切に処分すること

仏壇じまいとは、先祖代々受け継がれてきた仏壇を処分し、供養を終えることです。

仏壇じまいを行うタイミングは家庭ごとに異なりますが、以下のような状況で決断するケースが多く見られます。

親や家族が亡くなったとき

親が亡くなり、実家の整理をする際に仏壇じまいを考える人が増えています。

仏壇を継ぐ人がいない場合や、子どもが遠方に住んでいて管理が難しい場合には、早めに仏壇じまいを決めることが多いです。

住み替えや引っ越しのタイミング

高齢者の施設入居や、子ども世帯との同居、都市部への引っ越しなど、生活環境の変化によって仏壇を処分するケースがあります。

特にマンションに移る場合や、スペースの制約がある場合には、仏壇を置くのが難しくなることがあります。

継承者がいないと分かったとき

子どもや親族が仏壇を引き継ぐ意志がない場合、早めに仏壇じまいを検討する家庭もあります。

独身の方や子どもがいない方は、自分が元気なうちに仏壇を整理し、供養の方法を決めておくことが多いです。

墓じまいをするタイミング

お墓の管理が難しくなり、墓じまいを決断する家庭では、仏壇じまいも同時に行うことが一般的です。

お墓と仏壇は先祖供養の象徴であるため、どちらか一方を残すよりも、一緒に整理したほうが良いと考える人が多いのです。

精神的・経済的な負担が大きくなったとき

仏壇の維持費や、管理にかかる手間が負担になったときも、仏壇じまいを考えるきっかけになります。特に高齢者世帯では、日々の手入れが大変になったり、お寺との関係維持が難しくなったりすることがあります。

法要や節目の時期

年忌法要を機に、仏壇じまいを決断する家庭もあります。たとえば、三回忌や七回忌などの節目に仏壇を整理し、位牌を永代供養にするケースがあります。

仏壇じまいが増えている背景

近年、仏壇じまいをする家庭が増えている背景には、以下のような要因があると考えられます。

少子高齢化と核家族化

かつては大家族の中で、先祖代々、仏壇を受け継ぐのが当たり前でした。しかし、現代では少子高齢化や核家族化が進み、仏壇を引き継ぐ人がいないケースが増えています。

特に都市部では、若い世代が独立し、実家を継がないことが多いため、仏壇を維持することが難しくなっています。

住宅事情の変化

現代の住宅では、仏壇を置くスペースが確保しづらくなっています。仏間のある家が減少していること、また、仏壇を置く文化が薄れ、リビングに仏壇を設置することに抵抗を感じる人も増えています。

宗教観や価値観の変化

昔は先祖供養のために仏壇を守ることが当然とされていましたが、現代では無宗教の人や、特定の宗教にこだわらない人が増えています。

そのため、「仏壇は必要ない」と考える家庭も多く、仏壇じまいを決断するケースが増えています。

維持や管理の負担

仏壇を維持するには、定期的な掃除やお供え、法要などが必要です。高齢者の単身世帯が増える中で、これらの管理が負担になることもあります。

また、仏壇を継ぐ人がいない場合、遺された家族が仏壇の処分に悩むケースも少なくありません。

墓じまいとセットで行われるケースが増加

お墓の管理が難しくなり、墓じまいを行う家庭が増えていますが、それと同時に仏壇じまいを行うことも多くなっています。

特に、お墓と仏壇の管理者がいなくなる場合は、両方を整理する傾向があります。

仏壇じまいに閉眼供養は必要か？

閉眼供養とは、仏壇や位牌に宿っている魂を抜き、仏壇を「ただの物」として処分できるようにする儀式のことを指します。

仏壇じまいにおける閉眼供養の必要性については、宗派や地域、個人の考え方によって異なります。

閉眼供養が必要だと考える理由

一般的には、閉眼供養が必要だと考える人が多いです。それには、このような理由があります。

1. 仏壇や位牌は「魂が宿るもの」とされているため

仏壇や位牌は、単なる家具や木の板ではなく、「故人の魂が宿るもの」とされています。特に仏教の考え方では、開眼供養によって仏壇や位牌に魂が宿るとされるため、それを閉じる儀式である閉眼供養をしないまま処分すると、故人の魂が彷徨うと考える人もいます。

2. 供養のけじめをつけるため

長年、家族が手を合わせてきた仏壇を処分することは、精神的に負担を感じる人も少なくありません。閉眼供養を行うことで、「しっかり供養した」という気持ちの整理がつきやすくなります。

3. 家族や親族の納得を得やすい

仏壇じまいは個人だけの問題ではなく、親族や家族との関係も重要です。特に年配の家族は仏壇を大切にしている場合が多く、「魂を抜かずに処分するのは失礼だ」と感じる人もいるため、トラブルを避ける意味でも閉眼供養を行ったほうが無難です。

閉眼供養は必要ないと考える理由

時代とともに、仏壇や宗教に対する考え方にも変化が生じてきています。

1. 仏壇や位牌は「単なる物」と考えることもできる

宗教的な考えにこだわらない人の中には、「仏壇や位牌は木や金属で作られた物にすぎない」と考える人もいます。その場合、「魂が宿る」という概念を信じていないため、閉眼供養を行わずに処分しても問題ないと判断されることがあります。

2. 仏壇を購入するときに「開眼供養」をしていない場合もある

仏壇や位牌は、購入した時に必ずしも開眼供養をしているとは限りません。もし開眼供養を行っていない場合、そもそも「魂が入っていない」ため、閉眼供養をする必要もないという考え方になります。

3. 費用や手間がかかる

閉眼供養を依頼する場合、お寺にお布施を渡す必要があります。お布施の相場は3万円～10万円ほどですが、経済的な事情で負担に感じる人もいます。また、住んでいる地域によっては、そもそもお寺との付き合いがないため、依頼先が見つからないというケースもあります。

4. すでに永代供養をしている場合

故人の位牌やお墓をすでに永代供養にしている場合、「仏壇はただの形にすぎない」と考えることもできます。そのため、閉眼供養をしなくても問題がないと判断する人もいます。

閉眼供養をするかどうかの判断基準

閉眼供養をすべきかどうか迷った場合、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。

• 家族や親族が納得できるか
• お世話になっているお寺があるか
• 仏壇や位牌の購入時に開眼供養をしているか
• 費用や手間を負担できるか
• 自分の気持ちの整理がつくか

供養とは、心の問題です。理屈ではありません。供養を行うことで気持ちが楽になるなら、閉眼供養を行うのがよいですし、もし親族の中に「閉眼供養をしないと不安」と考える人がいれば、その気持ちに寄り添うことも大切です。

ただし、閉眼供養には費用がかかります。経済的に難しい場合は、無理に行わなくても大丈夫です。

仏壇じまいの流れ

仏壇じまいは、「仏壇をただ処分する」のではなく、適切な供養を行い、整理し、最後に処分するという流れになります。

僧侶に閉眼供養をお願いする

まずは、家の宗派を確認し、先祖代々のお墓があるお寺や、法事をお願いしている僧侶に相談します。依頼する際には「仏壇じまいを考えており、閉眼供養をお願いしたい」と伝えましょう。

菩提寺がない、もしくは遠方で依頼が難しい場合は、僧侶派遣サービスを利用することもできます。インターネットで「閉眼供養 僧侶派遣」などと検索すると、依頼できるサービスが見つかります。

閉眼供養の流れ

1. 僧侶が読経し、仏壇の魂抜きを行う
2. 位牌や仏具の供養を行う（宗派によって手順が異なる）
3. 最後に合掌し、仏壇の供養が終わったことを確認する

この供養が終わると、仏壇は「ただの家具」となり、処分できる状態になります。

仏壇の整理をする

仏壇の中には、線香立て、ろうそく立て、鈴などの仏具が入っていますので、整理が必要です。

再利用できる仏具は、新しい供養スペースで使用したり、親族に譲ったりすることも可能です。

もし処分する場合は、お寺で供養してもらうか、不燃ごみとして出しましょう。過去帳（故人の命日や戒名が書かれたもの）は、お寺に相談して供養してもらうことも可能です。

遺影は新しい供養スペースに飾るか、デジタル化するという選択肢もあります。仏壇の整理が終わったら、仏壇を処分します。

仏壇の処分方法

仏壇じまいを行った後、適切な方法で仏壇を処分する必要があります。

仏壇は家具とは異なり、供養の対象でもあるため、ただ捨てるのではなく、状況に応じた適切な処分方法を選ぶことが大切です。

仏具店にお願いして処分してもらう

多くの仏具店では、仏壇の引き取りや処分のサービスを提供しています。仏壇を扱う専門店のため、安心して処分を任せられます。

「閉眼供養を済ませているか？」を確認されることがあるため、閉眼供養を済ませておくのが望ましいです。

店舗によっては仏壇供養の手配も可能なので、菩提寺がない人は聞いてみると良いでしょう。

菩提寺に引き取ってもらう

仏壇じまいの際に閉眼供養をお願いし、その流れでお寺に仏壇を引き取ってもらうケースが多いです。

ただし、すべてのお寺が仏壇を引き取ってくれるわけではないため、事前に菩提寺に相談しましょう。

お寺によっては、位牌や仏具の供養も同時に行ってくれることがあります。

仏壇じまいの専門業者に依頼する

仏壇じまいの専門業者に依頼すると、閉眼供養の手配から運搬・処分までを一括で対応してくれます。大きな仏壇でも、自分で運搬する必要がありません。

出張供養サービスを提供している業者もあり、僧侶が自宅に来て供養をしてから仏壇を引き取ってもらうことも可能です。

仏壇の大きさや地域によっては、出張費や追加料金が発生することがあるため、事前に見積もりを依頼すると安心です。

粗大ゴミとして処分する

まずは、自治体のルールを確認します。自治体によっては、仏壇を粗大ゴミとして出せない場合もあるため、役所や清掃センターに問い合わせましょう。

必要に応じて閉眼供養を済ませ、粗大ゴミ回収を申し込みます。あとは、期日に指定の場所に仏壇を出しておけば、回収してもらえます。

仏壇じまいした後の位牌の取り扱いについて

仏壇を処分した後、残った位牌の取扱について迷ってしまう人もいると思います。いくつか方法があります。

位牌も処分する場合はお寺にお焚き上げをお願いする

位牌を処分する場合、お焚き上げをお願いする方法が一般的です。お焚き上げは、位牌を神聖な火で焼くことで、故人の霊を供養し、魂を天に返すという儀式です。

多くのお寺では位牌のお焚き上げを提供していますので、事前にお願いして日時を調整します。

位牌をお焚き上げする際には、事前に閉眼供養を行っていることが前提となります。閉眼供養後にお焚き上げが行われることで、故人の霊を正しく送り出すことができます。

位牌だけ残して供養を続ける

仏壇を片付けても、位牌だけは手元に残し、引き続き供養を行う方法です。

たとえば、小さな祭壇を自宅の一角に設けるなどして、位牌だけをお祀りするスペースを作ります。そこに位牌を置いて、毎日の線香やお花を供えすれば、家庭での定期的な供養を続けることができます。

位牌を置くスペースはごくわずかなので、仏間がなくても問題ありません。

お寺で永代供養してもらう

永代供養は、お寺が位牌を預かり、供養を代わりに行ってくれる方法です。僧侶が定期的に供養を行ってくれるため、家族が供養を続ける必要がありません。

位牌を家庭で管理せず、適切に供養が続けられますし、宗教的な儀式が途切れないというメリットもあります。

お寺の位牌堂に預ける

位牌をお寺の位牌堂に預ける方法もあります。お寺の位牌堂は、位牌を保管し、その供養をお寺が行ってくれる場所です。

永代供養と似ていますが、位牌堂での供養は、故人ごとに特別に供養される場合もあります。

位牌をお寺の施設に預けることで、安全に保管され、供養を長期的にお願いできるというメリットがあります。

仏壇じまいにかかる費用の相場

ここまでご紹介してきた仏壇じまいにかかる費用について、まとめました。

• お布施：3万円～10万円
• 仏具店に依頼して処分する場合：5,000円～30,000円程度
• 菩提寺に引き取ってもらう場合：10,000円～50,000円程度のお布施
• 粗大ゴミ：1,000円～5,000円程度（自治体による）

最も安く済むのは粗大ゴミとして出す方法です。

菩提寺に引き取ってもらう場合は、それまでのお寺との関係性いよって、お布施の金額が違っています。迷ったら、僧侶に聞いてみても良いでしょう。

仏壇じまいで注意すること

仏壇じまいを行う際には、慎重に対応しなければならない点がいくつかあります。

前もって家族、親族とよく相談すること

仏壇じまいは、単なる物理的な処分にとどまらず、家族や親族の精神的なつながりや信仰心に深く関わることです。

仏壇は通常、家族の宗教的な象徴であり、先祖への敬意を表すものです。そのため、仏壇の処分を一人だけで決めてしまうと、後々トラブルや不満が生じる可能性があります。

事前に家族全員とよく話し合い、仏壇を片付けた後の供養方法や、位牌の取り扱いについても確認しておくべきです。

当然、親族にも、意見を求めます。特に先祖を敬う考え方が強い家族では、急に仏壇じまいを進めると反対されることもあります。

仏壇じまいのタイミングについても相談が必要です。たとえば、重要な法事や祭りの前後に行わないほうがよい場合もありますから、みんなが気持ち良く仏壇じまいできる時期を選びましょう。

話し合って決めた内容については、書面で残しておくと、後々トラブルを防げます。

処分する前に仏壇の中を隅々まで確認する

仏壇の中には、位牌やお守り、仏像、さらには手紙や写真、遺品など、大切な物が保管されていることが多いため、処分前にきちんと確認することが非常に重要です。

誤って価値のあるものや思い出の品を捨ててしまうことがないよう、確認作業を慎重に行いましょう。

仏壇を開けて、全ての引き出しや棚をチェックします。何を捨て、何を残すべきか、自分一人だけで決めず、関係者と一緒に確認することで、後からのトラブルを防げます。

粗大ゴミとして出すときはご近所様にも配慮する

仏壇を処分する際、粗大ゴミとして出す場合、周囲に配慮することが大切です。仏壇は宗教的な意味を持つため、ゴミとして出すことに対して、周りの人々が不快に感じる場合もあります。

昔ながらの仏壇はかなり大きいですから、目立ちます。ご近所付き合いがあるなら、事前に挨拶をしておくと良いでしょう。

仏壇じまいをした後の供養の方法

仏壇じまいをしてしまうと、これまでのように手を合わせて故人様を偲ぶ場所がなくなってしまいます。

仏壇の代わりになるものを用意しておけば、今まで通りの供養を続けていけます。

小さな仏壇に買い替えて供養する

現代の住宅事情に合わせた、コンパクトな仏壇に買い替えて供養する方法です。仏壇の専門店やインターネット通販などで、様々なデザインやサイズの仏壇を選ぶことができます。

これまでの仏壇と同じように、位牌や遺影、故人の遺品などを飾り、線香やろうそくを供えられますが、小さいので場所を取りません。

とはいえ、小さくても仏壇ですから、定期的に仏具の手入れや掃除を行い、清潔に保ちましょう。

ミニ骨壷を置いて供養する

墓じまいも同時にした場合は、ご遺骨を安置する場所も無くなってしまうため、故人のご遺骨を小さな骨壷に納めて供養します。ミニ骨壺は、仏具店やインターネット通販などで購入できます。

ミニ骨壷は場所を取らないので、リビングや寝室など、身近な場所に置くことができます。専用の棚やテーブルに置いて、線香やお花を供えるという方法で、故人の供養を続けます。

骨壷と一緒に、故人の写真や好きだったものを飾ることもできます。

ご遺骨をアクセサリーに加工する

ご遺骨をペンダントや指輪などのアクセサリーに加工して身に着ける供養の方法もあります。加工は、専門業者に依頼することが多く、遺骨を小さなペンダントやリング、ブレスレットなどに変えることができます。

アクセサリーに加工した遺骨を持ち歩くことで、故人を日常的に身近に感じ、供養の気持ちを持ち続けることができます。

故人様が好きだったものを飾る

宗教的な色を感じたくない人は、故人様ゆかりのものを飾るのでも、立派な供養となります。

たとえば、

• 故人が好きだった花
• 趣味に関連するアイテム
• 好きだった食べ物

などを飾ることで、日常生活の中でその人を偲びます。

飾る場所としては、リビングルームの一角や小さな棚を利用することが一般的です。季節ごとに飾り方を変えるなど、自由にアレンジできます。

写真を飾る

故人様の写真を額に入れて飾ることも、供養の方法のひとつです。リビングルームや玄関に設置することで、家族全員が日々その人を思い出し、手を合わせることができます。

写真の周りに花を供えたり、毎日線香をあげたりすることもできますから、写真を通じて日常的な供養が可能です。

また、写真にお気に入りのアイテムや手紙を添えることで、さらにその人を偲ぶことができます。リビングや寝室など、よく目にする場所に飾ると良いでしょう。

まとめ

仏壇じまいは、仏壇を適切な方法で処分することです。通常は、僧侶にお願いして閉眼供養を行ってから、処分します。

仏具店、菩提寺、専門業者に依頼できるほか、自治体の粗大ゴミ回収に出すことも可能です。ただし、仏壇を回収できない自治体もありますので、事前に確認しましょう。

仏壇じまいをした後は、小さな仏壇に買い替えたり、ご遺骨をミニ骨壷に入れて安置したりして、供養を続けていくことができます。手元供養が難しい場合は、仏壇じまいと同時に、位牌を永代供養、もしくは位牌堂にお預けすると良いでしょう。