ブログ | ご遺骨の粉骨・洗骨業者
お骨の移動に必要な手続き・知っておきたい流れとポイント
少子高齢化やお墓の継承問題などで、お墓を移動する改葬、お墓を撤去する墓じまいをする人が増えています。それに伴ってお骨の移動が必要となりますが、移動するためには法的な手続きをしなくてはなりません。
また、家族やお寺との話し合いも必要となるでしょう。
そこで今回は、お骨の移動を検討されている方に向けて、手続きの流れ、費用、注意点などについて詳しく解説します。
故人様の思いを尊重しつつ、遺族の負担を減らせるように準備を進めていきましょう。
Contents
お骨の移動は自分で運ぶか業者に依頼する
お骨を移動する際には、方法ごとに異なる注意点やルールがあります。主な4つの方法についてそれぞれ詳しく解説します。
個人で車で移動する
お骨を車で運ぶ方法は、もっとも柔軟で手軽な移動手段です。他人の目を気にせず、プライバシーを保ちながら移動できますし、移動中に故人様への思いを寄せる時間が取れます。
ただし、骨壺の扱いには注意してください。骨壷を専用の袋や箱に入れ、運転中に安定した場所(シートや床)に置きましょう。急ブレーキや揺れに備えてクッション材を使用するのがおすすめです。
また、途中で立ち寄る場所での保管には気をつけます。盗難にあわないよう、公共の駐車場に長時間放置しないでください。
公共交通機関を利用する
長距離の移動の場合は、電車やバスなどの公共交通機関を利用するのもおすすめです。車を運転する必要がないので、安心して移動できるでしょう。
ただし、マナーや周囲への配慮が重要です。周囲に見えないように骨壷を包むか、専用のカバーや箱に入れてください。リュックやキャリーケースなどで運ぶと目立ちにくいです。
一部の交通機関では、大型の荷物や特殊な持ち物に関する規定があります。遺骨の持ち込みについて疑問があれば、事前に鉄道会社やバス会社に問い合わせておくと安心です。
ゆうパックでお骨を送る
郵便局のゆうパックを利用すると、お骨を送ることができます。宅配便では送ることができないので、注意してください。
送る際は、ご遺骨が壊れてしまわないようしっかりと梱包する必要がありいますが、市販の梱包キットを利用すると便利です。
飛行機で移動する場合は航空会社のルールに従う
お骨を飛行機で運ぶ場合は、航空会社の規定を守る必要があります。国内・国際線いずれも対応可能ですが、事前確認が必須です。
骨壷を手荷物として機内に持ち込む場合が一般的です。骨壷は布や箱で覆い、周囲に配慮しましょう。
骨壷の中身を確認されることはありませんが、X線検査を通す必要があります。金属製の骨壷を利用している場合、検査に時間がかかる可能性があるため事前に相談しておくとスムーズです。
埋葬してあるお骨を移動するには改葬許可証が必要
埋葬されているお骨を移動するには、法的手続きや供養の手順が必要です。
改葬許可証を申請する
改葬許可証とは、現在の埋葬先から遺骨を移動するために必要な公的書類です。手続きは以下の通りです。
- 移送先の決定
- 改葬許可申請書を用意する
- 役所に申請する
遺骨を移動する新しい埋葬先(墓地や納骨堂)を先に決めておく必要があります。新しい埋葬先から「受け入れ証明書」を発行してもらいます。
現在埋葬されている墓地の管理者から「埋葬証明書」「改葬承諾書」を取得します。改葬許可申請書に埋葬証明書などを添付して、提出します。
改葬許可証がないと、お骨の移動や新しい墓地での埋葬ができないため、必ず取得してください。
閉眼供養を行ってからお骨を取り出す
お骨を移動する際には、現在のお墓での「閉眼供養(お墓の魂抜き)」が必要です。
閉眼供養は、お墓を撤去したり、お骨を移動したりする際に、お墓に宿っている故人の魂を抜いて祈りを捧げる儀式です。これを行うことで、お墓は単なる石材として扱われるようになります。
お墓のあるお寺や霊園の管理者に相談し、僧侶や住職に閉眼供養を依頼します。供養の日程を決め、現地で儀式を行います。
当日は、僧侶による読経が行われ、魂抜きがされます。供養後、墓石を開けてお骨を取り出します。取り出したお骨は丁寧に箱や袋に移し、安全に保管します。
移送するにはお骨の洗浄と乾燥が必要
お骨を移動する際は、「洗骨(せんこつ)」と呼ばれる洗浄と乾燥の工程が必要です。
長期間埋葬されているお骨には土や湿気が付着している場合があります。そのまま移動すると腐敗やカビの原因となります。
遺骨をきれいにすることは、故人様への敬意を示す意味もあります。新しい場所で気持ちよく過ごしていただくための重要な儀式とされています。
お骨の洗浄・乾燥は専門の業者に頼むと良いでしょう。
移送先で開眼供養を行ってから埋葬する
お骨を新しい埋葬先に移した後は、「開眼供養(かいげんくよう)」を行い、故人を迎え入れる儀式をします。
新しい墓地や納骨堂の管理者を通じて僧侶に依頼します。開眼供養は移動したその日に行うのが一般的です。新しい場所の管理者と日程を調整しましょう。
墓じまいと改葬の違い
墓じまいと改葬は、似ていますが、少し違う点もあります。
墓じまいは、お墓を完全に撤去し、跡地を更地に戻すことを指します。墓石の処分やお骨の移動が含まれるため、改葬の手続きが必要になる場合が多いです。
改葬は、現在の墓地や納骨堂から別の場所へお骨を移動することを指します。お墓の跡地をそのまま残しておく場合もあるため、必ずしも墓じまいが伴うわけではありません。
項目 | 墓じまい | 改葬 |
お墓の撤去 | 必須 | 必須ではない |
お骨の移動 | 必須 | 必須 |
手続き | 改葬許可証の取得などが必要になることもある | 改葬許可証の取得が必要 |
費用相場 | 墓石撤去費用が加算される | お骨の移動費用のみ |
改葬の方法
改葬には、様々な方法があります。故人の想いやご家族の状況に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
すべてのお骨を移動させる
すべての遺骨を新しい墓地に移動させ、改めて納骨するのは、最も一般的な改葬方法です。家族全員が同じ場所で供養できます。
お骨を取り出す前に、現在のお墓で閉眼供養を行い、新しい墓地や納骨堂で開眼供養を行ってから、お骨を安置します。
すべてのお骨を移動する場合、元のお墓を撤去(墓じまい)する必要があるため、費用がかかります。
また、埋葬先の変更には必ず改葬許可証が必要です。事前に役所で手続きを行いましょう。
お骨と石碑を一緒に移動させる
お骨だけでなく、現在のお墓にある墓石や石碑も新しい埋葬先に移動させる方法です。古いお墓をそのまま新しい場所に移築する形になります。墓石に刻まれた家系図や家名などを引き継ぐことができます。
墓石や石碑を移動させるには、専門の石材店や業者に依頼します。墓石の分解や移動、再設置を行います。
墓石の移動は分解・運搬・再設置を伴うため、通常の改葬よりも費用が高くなることがあります。また、墓石の状態によっては移動できないこともありますので、事前に業者に相談しましょう。
お骨の一部のみ移動させる
現在のお墓に残すお骨と、新しい場所に移動するお骨を分ける方法です。この方法は、「一部改葬」とも呼ばれます。
新しい埋葬先でも供養しつつ、元のお墓を残すことで両方で、故人様を祀ることができます。お墓を完全に撤去せず、一部のお骨だけ移動するため、墓じまいの費用を節約できるというメリットもあります。
一部のお骨を移動する場合も、改葬許可証の手続きが必要です。
なお、お骨を分けることに抵抗を感じる人もいますので、親族間で十分に話し合いましょう。
取り出したお骨を分骨する
改葬後にお骨を複数の場所に分けて祀る方法です。分骨とは、一つのお骨を複数の場所に安置することを指します。たとえば、新しい墓地と自宅用の手元供養として分ける場合があります。
お骨を分ける際には専用の小さな骨壷や容器を準備します。
分骨に対する考え方は宗派や地域によって異なるため、宗教的な観点にも配慮しましょう。
お骨の移動はどこに?埋葬先の候補
お骨の移動を検討する際、次の埋葬先をどこにするかが重要なポイントです。
現在では多様な埋葬方法が選択できるため、家族や故人の希望、ライフスタイル、宗教観に応じた選択が必要です。ここでは、それぞれの埋葬先の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。
新しくお墓を建てる
現在のお墓から移動させ、新しい場所に改めてお墓を建てる方法です。家族のお墓を継承する形で利用されることが多いです。
新たなお墓を建てることで、家族が集まりやすくなるというメリットはあるものの、新しい墓地の購入費用や墓石の設置費用が必要で、数百万円規模になることもあります。
永代供養
お墓を寺院や霊園の管理者が永続的に管理・供養してくれる埋葬方法です。家族が継承者として管理を行う必要がないため、近年人気が高まっています。
管理料を一括で支払うことで、霊園や寺院が代わりに供養や維持を行います。家族が少ない場合や跡を継ぐ人がいない場合に最適です。
多くの場合、最初の13年や33年など一定期間は個別安置され、その後、合祀(他の遺骨と一緒に埋葬)されます。
納骨堂
遺骨を屋内施設の棚やロッカー型の納骨スペースに安置する方法です。近年ではアクセスが良い都心部の納骨堂が増加し、利便性から選ばれることが多いです。
屋内型施設のため、雨や寒さを気にせずに参拝可能です。
永代供養と同様に、一定期間後に遺骨が他者とまとめて供養される場合があることと、初期費用や年間管理料が必要になることに注意が必要です。
樹木葬
遺骨を樹木の下や自然の中に埋葬し、樹木を墓標として供養する方法です。自然に還る埋葬方法として注目されています。多くの樹木葬は永代供養の形式を採用しており、個別管理の手間がありません。
一般的なお墓に比べて初期費用が抑えられます。
散骨
遺骨を粉末状にし、海や山などの自然に撒く方法です。「自然に還る」という考えのもと近年増加している埋葬方法です。永代供養やお墓の維持費がかからず、一度の手続きで済みます。
ただし、お骨が撒かれるため、後日参拝できる場所が残りません。家族とよく話し合うことが大切です。
手元供養
遺骨の一部や全体を自宅で保管し、手元で供養する方法です。専用の小型の骨壷やペンダント型の容器に遺骨を入れる場合が多いです。
自宅や身の回りで故人を偲びながら生活できるため、心理的な安心感がありますし、お墓や納骨堂の維持費が発生しません。
お骨の移動にかかる費用
お骨の移動にかかる費用は、移動方法や必要な手続き、移送先の状況によって異なります。
<改葬にかかる費用>
- 改葬許可証の申請費用:1,500円程度(自治体による)
- 閉眼供養のお布施:30,000円~50,000円
- お骨の洗浄・乾燥費用:10,000円~30,000円
- お墓の撤去と更地にする費用:1㎡あたり10~15万円程度
<輸送費用>
- 個人で運ぶ場合(車を利用):ガソリン代や高速料金で数千円~数万円
- ゆうパックを利用する場合:1,500円~3,000円程度
- 公共交通機関を利用する場合:数千円~
- 飛行機を利用する場合:数万円(航空券代)+数千円(梱包費用)
<移送後の費用>
- 開眼供養のお布施:30,000円~50,000円
- 新しい墓石設置費用:50万~300万円
- 永代供養墓:10万~50万円
- 納骨堂:30万~150万円
- 樹木葬:10万~50万円
- 散骨:5万~50万円
改葬の手続きと墓じまいだけなら、数十万円で済みますが、改葬先の供養の方法によって、費用にはかなりの幅があります。
お骨の移動で注意したいこと
お骨の移動は、家族や親族の大切な行事であるだけでなく、法律や宗教的な手続き、社会的なマナーも求められます。
スムーズかつ円満に進めるためには、以下のポイントをしっかり押さえておくことが重要です。
親族でよく相談して決めること
お骨の移動(改葬)は家族全員に関わる大切な問題です。特に、お墓を移す際には親族間の意見が分かれることもあります。
そのため、早い段階で十分に話し合い、全員が納得する形で決定することが大切です。
故人様が生前にどのような供養を望んでいたのかを確認し、それを最優先に考えますが、遺骨を分ける際には宗教的な問題や親族の感情にも配慮し、事前に理解を得ておくことが重要です。
費用が発生するため、負担割合や支払い方法を明確にしておきましょう。決定事項は文書化すると、あとでトラブルを防げます。
お寺には「相談」という形で話をすること
お寺や霊園の管理者への連絡は、移動の前に必ず行うべき重要なステップです。特に、檀家として所属している寺院の場合、「報告」ではなく「相談」の形式を取ることで、円滑に手続きが進むことが多いです。
寺院は檀家の供養を責務としており、移動を相談せずに勝手に進めるとトラブルに発展することがあります。長年お世話になったことを感謝し、今後の供養についての理解を求めることが大切です。
閉眼供養などの儀式や離檀料(寺院との関係を解消する際の費用)を求められる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
お墓を解体する際は閉眼供養をしてから
お墓を解体し、お骨を取り出す際には「閉眼供養(魂抜き)」と呼ばれる宗教的な儀式を行うことが一般的です。
閉眼供養を行わずにお墓を解体すると、故人の魂が残るとされるため、礼を欠く行為と見なされます。
供養が終わっていないと、業者が工事をしてくれないこともあります。
移動するときはお骨だとわからない梱包方法にする
お骨を移動する際、他者に不快感や不安を与えないように配慮することが必要です。
特に公共交通機関や宅配便での移送時には、丁寧な梱包がマナーとされます。骨壷専用の袋やケースを使い、中身がわからないようにします。
プチプチやタオルで骨壷を包み、割れないように保護します。遺骨とはわからない外装(リュックやキャリーケースなど)に入れるのが一般的です。
JRや飛行機では、手荷物として持ち込むことが可能ですが、手続きや規定を事前に確認しましょう。
「中身は何ですか?」と尋ねられた場合に備え、「陶器」や「大切な品物です」などと答えるのがマナーです。
海外へ(海外から)お骨を移動する方法
お骨を海外へ送る、または海外から日本に持ち込む場合、国内移動以上に注意すべき点が多くなります。国や航空会社ごとに異なるルールを守る必要があり、法律や文化的な違いも考慮する必要があります。
海外へ送る場合は国ごとのルールに従う
各国はそれぞれ独自の規制を設けており、遺骨の輸送に関する書類や手続きが異なります。国ごとのルールに従わないと、入国審査で遺骨の受け取りが拒否される場合があります。
そのため、事前に輸送先の国の大使館や領事館、航空会社へ確認することが必須です。
航空便を利用するには、遺骨を手荷物として持ち込むか、貨物便として輸送する方法があります。航空会社ごとに異なるルールがあるため、事前に確認が必要です。
手続きには時間がかかるため、余裕を持って準備を始めましょう。複雑な手続きは、専門の業者に依頼することも検討しましょう。
火葬したお骨を日本に持ち込む場合は改葬許可証が必要
海外で火葬した遺骨を日本に持ち込む場合でも、日本の法律に基づいた手続きが必要です。
特に、遺骨を改葬する際には日本国内での「改葬許可証」が求められるため、事前に手続きを行いましょう。
まとめ
お骨の移動は、車や公共交通機関などいくつかありますが、人目に触れる場所では、お骨であることがわからないようにする配慮が必要です。
また、JRや飛行機では各社のルールがありますから、お骨を持ち込む前に、詳細を確認しておくと安心です。
今埋葬されているお墓からお骨を移動させるには、次に埋葬する場所を決めてから、改葬許可証を取得しなくてはなりません。改葬許可証がないと、お骨を移動できないので注意してください。
お骨を取り出すときは閉眼供養を、次の埋葬先で埋葬する際には、改めて開眼供養を行います。
お墓を建てず、納骨堂や樹木葬、散骨などを利用する方法もあります。いずれにしても、家族でよく話し合って決めることが大切です。
この記事の監修者

天井 十秋
大阪・東京を始め、全国で「粉骨」や「散骨」など葬送事業を10年間以上携わっている天井十秋です。
ご遺骨の専門家として多くの故人様の旅立ちをサポートさせていただいております。
ご遺族様や故人様の想いに寄り添った、丁寧な対応と粉骨をお約束いたします。
ご供養のことでお悩みがございましたら、是非お気軽にご相談ください。